2004 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansの神経回路における感覚情報処理の基礎過程の解析
Project/Area Number |
15029251
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石原 健 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10249948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 誠人 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (60243888)
藤原 学 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (70359933)
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Keywords | Ca2+ / 神経活動 / 線虫 / 筋肉 |
Research Abstract |
動物は、環境から様々な情報を感覚細胞を通じて受容し、神経回路上で必要な情報を取捨選択・統合し適切な応答をする。我々は、高次の感覚情報処理システムに関わる新しい分子機構を明らかにすることを目的として、C.elegansをモデルとして用い、学習・感覚情報の選択(価値評価)などの高次行動に関わる変異体について遺伝学的解析を行っている。 このような神経回路における情報処理過程の解析のためには、神経活動を直接測定することが重要である。そこで、C.elegansの細胞活動を、Ca^<2+>感受性蛍光タンパク質GCaMPを用いて可視化することを試みた。GCaMPは、Ca^<2+>濃度変化により蛍光強度が変化するため、移動する細胞や収縮する細胞では、蛍光強度の変化がCa^<2+>濃度変化によるものかそれ以外の要因に依るものか区別するのが困難である。そこで、GCaMPとは異なった波長特性を持つ蛍光タンパク質mRFPを同じ細胞で発現させ、GCaMP/mRFPの変化を測定することにより、Ca^<2+>濃度変化による成分のみを抽出することとした。まず、モデル系として線虫C.elegansの体壁筋において、GCaMPとmRFPを同時に発現させ、GCaMP/mRFPの蛍光強度比を、実際に運動している状態で測定したところ、体壁筋の収縮に伴いGCaMP/mRFPが数倍に上昇することが明らかになった。とくに、行動している方向などから推定される収縮する直前の細胞でもっともGCaMP/mRFPの蛍光強度比が高かったことから、この蛍光強度比が、体壁筋の収縮に伴う体積変化によるものではなく、実際のCa^<2+>濃度変化を反映していると考えられた。これらの研究結果は、神経細胞における細胞活動の可視化をする上での基礎的なデータとして重要である。
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Research Products
(3 results)