2004 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体のリン酸化と神経回路形成の分子生物学的研究
Project/Area Number |
15029258
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中井 淳一 独立行政法人理化学研究所, 記憶学習機研究チーム, 副チームリーダー (80237198)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / 神経活動 / LTP / GFP / リン酸化 |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体は興奮性神経伝達に関与し、シナプスの長期増強(LTP)のメカニズムとしてAMPA型グルタミン酸受容体のリン酸化により膜への受容体の組み込みやチャネル活性の増加が関与しているという報告がある。また脱リン酸化によるLTDも報告されている。この研究ではAMPA型グルタミン酸受容体のリン酸化を可視化するための蛍光センサーを試作し、試作したセンサーを用いてグルタミン酸受容体の活動を時間的空間的に捉え、神経回路に及ぼす作用を明らかにすることを目的とする。 AMPA型グルタミン酸受容体のC末端の細胞内領域に存在するカルシウムカルモジュリン依存性キナーゼII (CaMKII)およびAキナーゼによりリン酸化部位を含むアミノ酸配列の前後に、GFPの変異体であるYFPおよびCFPを付加した蛍光センサー分子のcDNAを試作した。試作したセンサーの機能を調べるため、センサーcDNAをHEK293細胞に発現させ、リン酸化を即す刺激により蛍光変化を測定した。Aキナーゼを活性化するForskolinおよびdibutyryl cAMPによる刺激ではYFP/CFPの蛍光比の微弱な増加が観測された。またCaMKIIを刺激するためIonomycinを投与した結果、明らかなYFP/CFPの蛍光比の増加が観測された。 今回、グルタミン酸受容体のリン酸化のFRETを用いた蛍光センサーを作成した。リン酸化刺激により蛍光変化が観察された。しかし、その程度は小さく、実用的には検出感度の点でまだ厳しく、神経回路の検討にまでは至れなかった。
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Research Products
(1 results)