2003 Fiscal Year Annual Research Report
Identified neuronの個性獲得・発現・維持の分子機構
Project/Area Number |
15029263
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
八田 公平 独立行政法人理化学研究所, ボディプラン研究グループ, 研究員 (40183909)
|
Keywords | マウスナー細胞 / ゼブラフィッシュ / 逃避行動 / 側線 / 視覚 / サイクロプス / フロアプレート / 軸索 |
Research Abstract |
マウスナー神経細胞が中心的役割を果たす逃避行動の神経回路の形成機構と機能について以下のような成果を得た。 1.神経細胞が特定の位置に特定の数だけ分化した後、そのアイデンティティを維持し、特異的な軸索伸張や樹状突起形成をおこす仕組みを解析するため、いくつかのゼブラフィッシュ突然変異体とそれらの二重変異体について同定可能な神経細胞への影響を調べた。特異的抗体をもちいることによって、マウスナー細胞をホールマウント胚において染め出し、詳細に調べることができた。フロアプレートのないサイクロプスと脊索を欠く変異体であるフローテイングヘッドの二重変異体では、正中軸(脊索、フロアプレート)だけでなく、その近辺の腹側組織が失われる。マウスナー細胞の軸索ガイダンスは、どちらの変異体も単独では背腹方向でローカルな軸索ガイダンス異常を示すが、二重変異体では、むしろ頭尾軸方向へ異常をきたすことが示された。このことは、フロアプレートより背側に存在する細胞群が頭尾軸方向への軸索ガイダンスに重要な役割を果たしていることを示唆している。 2、逃避行動は単なる反射運動ではなく例えば、右・左のどちらに逃げるかは、まわりの状況(壁などが近くにないかどうか等)の判断によることが知られている。しかしながら、その状況判断が側線によるのか、視覚によるのかは全くわかっていなかった。私達は赤外線カメラをもちいて、暗闇のなかで、視覚が使えない状態にしたときの行動変化について詳しい観察を行い、魚は視覚をもちいて壁の位置を認知し、逃避の方向にあらかじめバイアスをかけていることを初めて明らかにした。
|