2003 Fiscal Year Annual Research Report
攻撃的なミツバチの脳に感染するRNAウイルスの感染ルートと攻撃行動への関与の証明
Project/Area Number |
15030210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 健雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10201469)
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Keywords | ミツバチ / 攻撃行動 / 社会性昆虫 / 脳 / ウイルス / 感染 / 遺伝子 / 非翻訳性RNA |
Research Abstract |
ミツバチは社会性昆虫であり、女王蜂が産卵、働き蜂が育児や門番、採餌などの労働に携わる。本研究では、ミツバチの社会行動に関わると考えられる、2種類のRNA関連遺伝子に関する研究を行った。(1)攻撃的な働き蜂の脳に選択的に感染する新規なRNAウイルスと、(2)ミツバチから同定された新規な非翻訳性核RNAである。次にそれぞれの課題についての研究実績の概要を記す。 (1)働き蜂の攻撃行動を規定する分子的基盤を解析する目的で、攻撃的な働き蜂の脳で選択的に発現する遺伝子(RNA)を検索した結果、Kakugo RNAを同定した。cDNAクーローニングの結果、kakugo RNAがコードするタンパク質は、様々なピコルナ様ウイルスのポリプロテインと有意な相同性を示すことが判明した。さらに攻撃蜂の細胞粗抽出液を非感染の働き蜂に注射した所、3日後に脳でkakugo RNAが増幅していることが判明した。このことは、kakugo RNAが新規なウイルスのゲノムRNAであり、攻撃蜂の脳はこのウイルスに感染していることを示唆している。kakugoウイルスは攻撃蜂の脳では検出される一方で、育児蜂や採餌蜂では検出されず、攻撃行動とkakugoウイルスの感染が密接に関連することが示された。 (2)ミツバチ脳で機能する新規な非翻訳性核RNAの候補として、AncR-1を同定した。AncR-1遺伝子は、ミツバチに発現するcDNAのライブラリーの中から、その転写産物が核に局在する遺伝子として同定された。解析の結果、AncR-1はスプライシングやpoly(A)付加など、mRNA様のプロセシングを受けるが、タンパク質をコードせず、その転写産物は核内に留まること、女王蜂、働き蜂、雄蜂の体の各部で発現パターンが異なることが判明した。本研究は、mRNA型の非翻訳性核RNAの組織特異的発現を示した最初の例と思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fujiyuki, T. et al.: "Novel insect picorna-like virus identified in the brains of aggressive worker honeybees."Journal of Virology. 78. 1093-1100 (2004)
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[Publications] 久保健雄: "私のおすすめ実験動物13 ミツバチApis"細胞工学. 22(1). 54-55 (2003)
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[Publications] Kubo, T.(共著): ""Molecular analysis of the honeybee sociality" in: Genes, Behaviors and Evolution of Social Insects (Eds.Kikuchi, T., Azuma, N and Higashi, S.)"Hokkaido University Press. 18 (2003)