2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞壁構築遺伝子群の総括的発現解析による軸性形成の制御機構の解析
Project/Area Number |
15031202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西谷 和彦 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60164555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 隆亮 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (90302083)
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Keywords | シロイヌナズナ / イネ / XTH / 細胞壁 / 遺伝子 / 器官 / 細胞伸長 / ゲノム |
Research Abstract |
細胞伸長過程において鍵となる働きを担う細胞壁関連遺伝子の特定を目指して以下の研究をおこない、以下の成果を得た。 シロイヌナズナ各器官の特定細胞の形成に関わる細胞壁関連遺伝子群セットを特定するために、a)花茎の伸長時、b)花茎伸長停止時、c)葉の展開過程、d)根の伸長域、e)GA、IAA、fusicoccin等のホルモンによる胚軸伸長誘導過程、でそれぞれ特異的に発現が変動する遺伝子群を解析した。その結果、細胞壁構築関連遺伝子群の各ファミリーのメンバーはそれぞれ、独自の過程に関与し、明確な役割分担を示すことが明らかとなった。 イネのXTHファミリー29遺伝子を特定し、シロイヌナズナとの比較ゲノム的視点から、各器官、各組織に固有の発現特性を解析した。その結果、OsXTH19のみがイネ地上部(葉と茎)伸長組織で顕著に高い発現を示すことを明らかにした。また、GAに応答するXTH遺伝子を4種同定し、それらの転写に関わるシス領域を推定した。 シロイヌナズナの細胞壁XTHファミリーに属する33の遺伝子のうち、24遺伝子についてT-DNAタグラインを用いて欠損変異体を解析し、以下の結果を得た。a)根で高い発現を示すAtXTH12を欠損した変異体では根の伸長不全、葉の展開不全、莢の形成不全などの顕著な形態異常を示した。b)地上部の各器官で発現するAtXTH27欠損変異体では葉の形態異常が見られ、葉肉組織内に斑点状の細胞の壊死が高頻度で観察された。c)これらの遺伝子以外の22の遺伝子については、欠損により特段の形態異常は認められなかった。以上の結果は、AtXTH12、27の両遺伝子が、それぞれ特定の細胞構築に必須の特異的な役割を担っていることを示すと同時に、それら以外の遺伝子については、機能が重複し、互いに役割の代替が可能であることを示唆している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakamura, T. et al.: "Two azuki bean XTH genes, VaXTH1 and VaXTH2, with similar tissue-specific expression profiles, are differently regulated by auxin"Plant and Cell Physiology. 44. 16-24 (2003)
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[Publications] Hyodo, H. et al.: "Active gene expression of a xyloglucan endotransglucosylase/hydrolase gene, XTH9, in inflorescence apices is related to cell elongation in Arabidopsis"Plant Molecular Biology. 54. 473-482 (2003)
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[Publications] Yokoyama, R. et al.: "A surprising diversity and abundance of XTHs (xyloglucan endotransglucosylase/hydrolases) in rice : classification and expression analysis."Plant Physiology. 134. 1088-1099 (2004)
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[Publications] 井本桂子 他: "オリゴDNAマイクロアレーによる植物の形作りの包括的解析"化学と生物. 41. 9-11 (2003)
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[Publications] Yokoyama, R. et al.: "Cell wall dynamics in tobacco BY-2 cells."Biotechnology in Agriculture and Forestry. 53. 217-230 (2004)