2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物発生の基盤となる細胞増殖を制御するシグナル伝達機構
Project/Area Number |
15031210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 正明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (80221810)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ / CDK活性化キナーゼ / サイクリン / 細胞周期 / 細胞分裂 / 植物 / 分化 / 器官形成 |
Research Abstract |
CycD4;2のT-DNA挿入変異体を単離しその表現型を解析したところ、葉の成長が抑制され老化が早く進行する表現型を示した。この際、細胞分裂と細胞伸長の両方が阻害されていることが明らかになった。この変異体では、最後のエキソンを欠いた欠失型のmRNAが産生されていた。また、野生型のCycD4;2タンパク質は核に局在し、その転写産物は分裂組織よりもむしろ分化が進んだ組織で検出された。これらの結果から、CycD4;2はCDKCやCDKEと結合し転写制御に関わるか、あるいは直接ある種の転写因子と相互作用することにより組織分化の過程を制御している可能性が考えられた。今後は、欠失型CycD4;2の細胞内局在とその相互作用因子を明らかにすることにより、組織分化におけるCycD4;2の機能的役割について解明する。 CDK活性化キナーゼ(CAK)はCDKをリン酸化し活性化する、細胞分裂の活性化因子である。既に、我々はシロイヌナズナの4種類のCAK(CAK1〜4)がリン酸化カスケードを構成することを示してきた。そこで、このカスケードを上流で制御するシグナルについて明らかにする目的で、分裂酵母のCAK変異株の温度感受性を抑圧するシロイヌナズナ遺伝子のスクリーニングを試みた。その結果、Aタイプ(非転写因子型)のレスポンスレギュレーターの一つであるARR4が単離された。この抑圧活性はリン酸基を受け取るAsp残基に変異を導入すると消失したことから、サイトカイニンに依存したHis-Aspリン酸リレーがCDK活性を正に制御する可能性が考えられた。今後は、ARR4を介したサイトカイニンの情報伝達がどのようにCDKやCAK活性を制御しているのか、分子レベルで明らかにしていく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamaguchi, M.: "Control of in vitro organogenesis by cyclin-dependent kinase activities in plants."Proc.Natl.Acad.Sci., USA. 100. 8019-8023 (2003)
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[Publications] Barrero, R.A.: "Over-expression of Arabidopsis CAP causes decreased cell expansion leading to organ size reduction in transgenic tobacco plants."Ann.Bot.. 91. 599-603 (2003)
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[Publications] Bako, L.: "The VirD2 pilot protein of Agrobacterium-transferred DNA interacts with the TATA box-binding protein and a nuclear protein kinase in plants."Proc.Natl.Acad.Sci., USA. 100. 10108-10113 (2003)
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[Publications] Kono, A.: "Arabidopsis D-type cyclin CYCD4;1 is a novel cyclin partner of B2-type cyclin-dependent kinase."Plant Physiol.. 132. 315-1321 (2003)
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[Publications] Lee, J.: "Cell cycle function of a rice B2-type cyclin interacting with a B-type cyclin-dependent kinase."Plant J.. 34. 417-425 (2003)