2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウキクサの花芽形成時に分裂組織で発現する左右非対称性の分子機構解明の試み
Project/Area Number |
15031215
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小山 時隆 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30324396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
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Keywords | 高等植物 / ウキクサ / 分裂組織 / 花芽誘導 / 光周性 / 概日リズム / 発光レポーター / 左右軸性 |
Research Abstract |
本研究はウキクサの花芽形成時に見られる左右非対称性の分子機構解明を目指して、花芽誘導シグナルの未分化分裂組織への伝達様式を明らかにすることを目的とする。今年度はウキクサを用いた研究手法の開発やマーカー遺伝子等の研究材料収集を進めており、以下の成果を得た。 1)組織切片による解剖学的な解析を行い、分裂組織分化過程を観察した。その結果、ごく初期の原基からフロンド(あるいは花芽)までの形態的な変化の概要をつかんだ。2)in situ hybridization法による発現解析を行うために、概日リズム発現をするCAB遺伝子をプローブに用いて条件検討を行い、再現性ある方法を確立した。3)概日リズムを生きたまま観測する方法として、概日リズム発現するアラビドプシスの時計関連遺伝子(CCA1,APRRs)のプロモーターにホタルルシフェラーゼ遺伝子をつないだコンストラクトをパーティクルガンによって導入し、一過的発現(生物発光)を数日間連続的に測定した。その結果、生物発光の概日リズムを再現良く観測できた。4)一過的発現系をもちいて、アラビドプシスの時計関連遺伝子LHYのウキクサホモログがウキクサで概日時計振動に働きうることを確かめた。概日リズム発光レポーターコンストラクトとLHYホモログの過剰発現コンストラクトを同時にウキクサに導入した結果、生物発光の概日リズム成分をのぞくことができた。つまりこの系で発現解析だけでなく、遺伝子の機能解析も可能であることを示した。5)花芽誘導・形成のごく初期に発現する遺伝子を発生マーカーとして使うことを目的に、アラビドプシスLFYのホモログを短日ウキクサ、長日ウキクサからそれぞれ一種類単離した。しかし、植物体全体から抽出したRNAを用いた定量的RT-PCR法では花芽形成と発現量との間に相関が見られなかった。 これらの成果はウキクサの分裂組織化機構へアプローチする手がかりであり、ウキクサの特質を生かした今後の展開につながると考えられる。
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Research Products
(1 results)