2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15031216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡 穆宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (10093212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 卓史 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80202498)
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Keywords | サイトカイニン / 二成分制御系 / 形態形成 / ヒスチジンキナーゼ / 転写因子型応答因子 / 細胞内シグナル伝達 / 維管束形成 |
Research Abstract |
(1)サイトカイニンによって活性化されるARR1(転写因子型応答因子)の直接標的遺伝子を網羅的に解析するため、ステロイドホルモンで人為的に活性化できる改変ARR1を用いて、Microarray法およびHiCEP法により多くの候補遺伝子を抽出した。これらの中には、既に知られている非転写因子型ARRの他に、幾つかのMyb、bHLH、AP2、GATAタイプの転写因子やP450、感染防御関連タンパク質、代謝関連酵素をコードする遺伝子群が含まれていた。これらのうちの一部は、タンパク質合成阻害条件下でのステロイドホルモン誘導実験からARR1の直接標的遺伝子であることを確認した。(2)11種の転写因子型ARRと10種の非転写因子型ARRはそれぞれ機能的に重複していると考えられているが、ARR1が10種の非転写因子型ARR遺伝子のサイトカイニン誘導にどのように関わっているかを解析した。その結果、ARR1は10種全てのARR遺伝子のサイトカイニン誘導を引き起こす潜在能力を有するが、それぞれの遺伝子のサイトカイニン誘導に対するARR1の寄与は一定でないことを示した。数種類の転写因子型ARRを除いて発現部位の顕著な違いが認められないので、このような差異の大部分はARR1とそれぞれの標的遺伝子プロモーターとの親和性に起因するものと思われる。(3)種々の状況証拠からサイトカイニン刺激がCRE1などのヒスチジンキナーゼからARR1などの転写因子型ARRへ介在因子(AHPs)を介して伝わると信じられている。これをより明白にするため、CRE1欠損(wo1変異)がARR1の活性化でサプレスされ得ることを形態学的・組織学的に示した。ただし、このサプレッションのレベルは、幅広いばらつきを示すこともわかった。これは師管形成の開始が根の成長過程のどの時期にサプレスしたかを反映しているように見える。(4)in vitroでCRE1からAHPを介してARR1人リン酸リレーが起こり得ることは既に一部報告されているが分子種の特異性などを明らかにできるぼど高効率の系は確立されていない。今回昆虫の培養細胞を用いてそれぞれのタンパク質を高頻度で発現させる系を構築した。この系で発現させたタンパク質を用いてin vitroリン酸リレーが効率よく起こる系を構築した。ただしこの系を用いても未だ分子種の特異性を見いだすまでには至っていない。(5)arr1-1変異株はサイトカイニン応答の感受性が低下するものの完全に非感受性にはならない。arr2-1変異についても同様に感受性が低下するがarr1-1ほどではない。これらの二重変異株も表現型はarr1-1とほとんど変わらず、根の組織学的観察もこれを裏付けている。11種の転写因子型ARRのうちARR1がもっとも多量に発現していることを反映しているものと思われる。
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Research Products
(7 results)