2004 Fiscal Year Annual Research Report
MDRタイプABCトランスポータによるオーキシン極性輸送の分子機構
Project/Area Number |
15031217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Keywords | ABCタンパク質 / MDRサブファミリー / AtPGP4 / AtABCA1 / シロイヌナズナ / オーキシン極性輸送 / IAA / 膜輸送 |
Research Abstract |
本研究においてはシロイヌナズナのT-DNAタグラインを利用して、AtMDR4(AtPGP4)とその類似メンバーAtABC1に関して生理学的及び生化学的解析を行い、植物細胞における植物ホルモン輸送に関わる新しいメンバーとしてのABCトランスポーターの役割と、その輸送の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。 本年度は、主にAtMDR4(AtPGP4)に関して顕著な進展があった。AtMDR4のコーディング領域にT-DNAの挿入されたシロイヌナズナのT-DNAタグラインは、芽生えの時に根の伸長・発達が野生株に比べて明確に遅延することが見出された。これは、本遺伝子が根で発現していることと良い整合性を示す。根の中でも主に表皮細胞で発現しており、根の基部では皮層でも高い発現がみられた。この遺伝子の高発現株を用い、茎頂から根端へのオーキシン輸送を測定したところ、高発現株で2.5倍に極性輸送が上昇していた。破壊株を用いたメタボローム解析では、根に投与したIAAが破壊株では半分程度にしか取り込まれない結果を得た。それに対し、高発現株では、オーキシンの取り込みが上昇していた。 さらに、HeLa細胞を用いた細胞輸送系では、AtMDR4を発現した細胞はコントロールに比べ、IAAをより取り込むことが見出され、そのIAAの内向き輸送はオーキシン輸送阻害剤NPAで明確に阻害された。これらのことから、IAAが根端から上向きに輸送されるところにAtMDR4が関与していることが示唆された。そこで、ペプチド抗体を用いた蛍光免疫組織染色を行ったところ、AtMDR4は根の表皮細胞の下側の面に局在していることが認められ、仮説を強く支持する結果を得た。 一方、AtMDR4と最も類似するAtMDR21についても発現特性を調べたところ、本分子はむしろ地上部で発現しており、機能の役割分担が示唆された。
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Research Products
(7 results)