2003 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における側根形成機構に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
15031218
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
深城 英弘 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (80324979)
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Keywords | オーキシン / 側根形成 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
高等植物における側根形成の分子機構を解明することを目的として、シロイヌナズナ側根欠失優性変異体slrとその原因遺伝子IAA14(オーキシン誘導性Aux/IAA遺伝子)、オーキシン応答性転写調節因子ARF、およびslrのサプレッサー変異体ssl2とその原因遺伝子SSL2/CHR6(クロマチンリモデリング因子)を用いた分子遺伝学的研究により、以下の成果を得た。 1、側根形成を制御するSLR/IAA14とARF7、ARF19タンパク質の機能解析 (1)ARF7とARF19遣伝子の二重変異体arf7 arf19で、側根形成能が顕著に低下することを複数のアリルの組み合わせにおいて確認した。また、ARF7の過剰発現によりarf7 arf19の側根形成能の低下が相補されることも確認した。これらの結果からARF7とARF19が側根形成に必要なARFであることが明らかとなった。(2)側根形成に関わる遺伝子群を網羅的に同定する目的で、野生型とslr変異体の根における発現プロファィルをDNAマイクロアレイにより比較・解析した。その結果、多数の遺伝子発現がslr変異によって影響を受けることがわかった。 2、側根形成に関わるクロマチンリモデリング因子SSL2/CHR6の解析 ssl2 slr二重変異体とssl2変異体の表現型解析を行い、(1)ssl2変異がオーキシン存在下で内鞘細胞の分裂を伴う側根形成を促進すること、(2)ssl2変異によって変異型IAA14タンパク質の局在や安定性は影響されないことを示した。またSSL2プロモーター制御下でGUSを発現する植物体(pSSL2::GUS)を用いた解析から、SSL2遺伝子が根の中心柱(側根形成開始部位を含む)で発現することを確認した。これらの結果から、SSL2/CHR6はオーキシンを介した側根形成を負に調節することが示唆された。
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Research Products
(1 results)