2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15031227
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
青木 考 独立行政法人理化学研究所, コミュニケーション分子機構研究チーム, 研究員 (30344021)
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Keywords | 篩管 / 長距離移行 / 選択的移行 / CmPP16 |
Research Abstract |
篩管内高分子輸送は植物の生長分化にとって重要な働きをしているが、高分子が単に篩管のバルクフローによって受動的に輸送されているのか、あるいは何らかのメカニズムによってコントロールされた過程なのか、ほとんどわかっていない。そこで私はビオチン標識したカボチャ篩管タンパク質トレーサーをイネ篩管に直接導入、遠隔器官における蓄積パターンを調べることにより、長距離移行の解析を行なった。用いた実験条件では、篩管バルクフローはトレーサーを与えた葉からより上位の葉に向かって優勢な流れを作っていた。遠隔葉で検出されたトレーサーの組成は導入したトレーサーと同じであり、このことから遠隔葉への移行はバルクフローによる受動的輸送の寄与が大きいと結論できた。一方根で検出されたトレーサーの組成導入したトレーサーと大きく異なり、検出されたタンパクの同定と合わせて、篩管RNA結合タンパク質CmPP16-1とCmPP16-2の根への選択的移行が確認された。精製したCmPP16-1とCmPP16-2を導入した時、CmPP16-1の根への移行能率が低減した。ゲルろ過と免疫沈降法によってカボチャ篩管タンパク質中にCmPP16-1と相互作用するものが存在し、これらがCmPP16-1の根への動きを正に制御している事がわかった。興味深い事に同じ篩管タンパク質はCmPP16-2とも相互作用し、CmPP16-2の根への移行を負に制御している事が示唆された。これらの相互作用タンパク質はelF5AとTCTPというタンパク質のオルソログであった。以上の事から、篩管タンパク質長距離移行には、バルクフローによる受動的輸送と別の機構が存在する事、CmPP16-1とCmPP16-2の根への移行選択性は他の篩管タンパク質との相互作用によって制御されていることが明らかとなった。
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