2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンによるDNA複製開始タンパク質(RepE)の活性化の分子機構:repE遺伝子の転写、翻訳、活性化過程におけるシャペロンの働きとRepE-シャペロン複合体の構造解析
Project/Area Number |
15032223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三木 邦夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10116105)
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Keywords | DnaK分子シャペロン / Fプラスミド / RepE複製開始タンパク質 / N末-RepE二量体ドメイン / RepE-オペレータ複合体 / 結晶化 |
Research Abstract |
DnaK分子シャペロン(DnaK, DnaJ, GrpE)は細胞内で合成途中のポリペプチドやタンパク質のfolding,サブユニットの会合,膜透過,分解などに働く.他方,複製開始因子や転写因子の活性化を助ける機能を持つが,これらの作用機構の詳細は明らかでない.大腸菌ミニFの系はこの研究の一つのモデル系として優れている.我々はこれまでに,DnaK分子シャペロンがミニFのDNA複製開始タンパク質RepEを活性化するのに必須であること,DnaK分子シャペロンとRepEが相互作用すること等を明らかにした.さらに,RepEの単量体がイニシエーターとして,二量体がrepE遺伝子のリプレッサーとして機能すること,in vitroでRepE二量体から単量体への変換はDnaK分子シャペロンによって行われること,DnaK分子シャペロンとRepEが結合することを明らかにした.この変換機構の詳細を分子レベルで明らかにする.今年度の研究成果は,(1)DnaK分子シャペロンとの相互作用しなくなったRepEの変異体の分離,解析をさらに新しいものを加えて行った.変異体はリプレッサー活性は正常であるが,イニシエーター活性を持たない.20個の変異体の変異領域は,これまでと同様にいずれも疑似二回対称体(RepE単量体の構造)の中心領域にある.これらのDnaKあるいはDnaJとの結合能を調べている.(2)RepE二量体の結晶化とその結晶構造解析.正常RepE二量体はタンパク質が凝集しやすく結晶化が困難であるから,新たに,N末ドメイン二量体(単量体分子量約15kD)の結晶化を試み,結晶化に成功した.また,RepE二量体とオペレータとの共結晶化を行った.これらの構造をもとに,DnaK分子シャペロンによるRepE二量体から単量体への変換機構が分子構造レベルで理解できると考えている.
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