2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御システムにおける細胞内蛋白質品質管理システムの役割
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15032246
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20301400)
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Keywords | 抗原提示 / 抗原ペプチド / ユビキチン / プロテアゾーム / HSP90 / HSP40 / 樹状細胞 / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
1.細胞内蛋白品質管理システムと免疫システムとの関係について解析した。細胞内では蛋白新生と同時に分解処理が進行している。その過程にはさまざまな分子シャペロンが関与し、蛋白高次構造の制御と分解を介助しているが、細胞にストレスが加わり壊死したとき、細胞外に分子シャペロンと蛋白分解産物が放出され、この複合体は抗原提示細胞である樹状細胞に能動的に取り込まれ、樹状細胞を活性化することを見出した。これは蛋白品質管理システムが生体のDanger signalとして免疫系に利用されていることを意味している。HSP90とペプチドの複合体をモデルとして,複合体の細胞内輸送について解析したところ、細胞表面の受容体を介してendosomeに取りこまれ,プロテアーゼによって処理された後にペプチドはMHC class I分子と結合して細胞表面に提示されること、この過程にはTAP非依存性の蛋白輸送が関与していること、endosome内にlactacystinによって抑制されるプロテアゾーム様活性が存在し(エンドプロテアゾーム)、これが外来抗原のクロスプレゼンテーションに重要であることを見出した。 2.分子シャペロンにはさまざまなコシャペロンと呼ばれる補助因子が含まれる。HSP40ファミリーはHSP70のコシャペロンである。新規HSP40ファミリー遺伝子をクローニングし、細胞内蛋白品質管理システムにおける役割について解析した。ERdj3は小胞体内に局在するHSP40で、神経系細胞の小胞体ストレス耐性とアミロイドベータ毒性の耐性に関与していることを見出した。またDNAJc8分子は核内に局在するHSP40で、HSP70の核移行を促進するコシャペロンであることを見出した。 3.骨格筋の廃用性萎縮に関与する蛋白を、プロテオーム解析法(TOF-MS質量分析)を用いて解析し、ユビキチン分解酵素や各種分子シャペロンの発現が増加すること、筋萎縮にプロテアゾーム蛋白分解系の亢進が関与していることを見出した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ueda, G., Torigoe, T., et al.: "Tumor-derived Heat Shock Protein70-pulsed Dendritic Cells Elicit Tumor-specific Cytotoxic T Lymphocytes (CTLs) and Tumor Immunity"Cancer Science. 3. 248-253 (2004)
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[Publications] Nakamura M, Torigoe T, et al.: "Survivin as a predictor of cis-diamminedichloroplatinum sensitivity in gastric cancer patients."Cancer Science. 1. 44-51 (2004)
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[Publications] Momota H, Torigoe T, et al.: "Histone H2AX sensitizes glioma cells to genotoxic stimuli by recruiting DNA double-strand break repair proteins."Int.J.Oncology. 23. 311-315 (2003)
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[Publications] Ichinohe T, Torigoe T, et al.: "T-cell receptor variable gamma chain gene expression in the interaction between rat gammadelta-type T cells and heat-shock protein 70-like molecule."Microbiol.Immunology. 47. 351-357 (2003)
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[Publications] Yagihashi A, Torigoe T, et al.: "Detection of anti-livin antibody in gastrointestinal cancer patients."Clin.Chemistry. 49. 1206-1208 (2003)
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[Publications] Kashiwagi K, Torigoe T, et al.: "Analysis of a shared pancreatic cancer antigen recognized by an HLA-A *2601-restricted cvtotoxic T-lymphocyte clone."Pancreas. 26. 81-88 (2003)
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[Publications] 田村保明, 鳥越俊彦: "細胞における蛋白質の一生:生成・成熟・輸送・管理・分解・病態"小椋 光, 遠藤斗志也, 森 正敬, 吉田賢右編(印刷中). (2004)
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[Publications] 林雄一郎, 上口権二郎, 鳥越俊彦: "病理と臨床 臨時増刊号 分子シャペロン"文光堂(印刷中). (2004)