2003 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面における光励起状態と電子移動過程の赤外分光解析
Project/Area Number |
15033201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大澤 雅俊 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (00108466)
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Keywords | 固液界面 / 反応ダイナミクス / 表面増強赤外分光 / 和周波発生分光 / 水素電極反応 / 高速時間分光 / 分子認識 / 燃料電池 |
Research Abstract |
1.電極界面における分子認識 DNAの二重らせん形成の基本となるA-TとG-C型水素結合対の形成は分子認識の典型的な例であり、バイオセンサーにも利用される。しかしながら、固体/水界面では期待される水素結合対が実際に形成されているかどうかは明らかでない。そこで、チオール化したアデニンを金基板に固定し、溶液中にチミジンを加えた時の相互作用を表面増強赤外分光(SEIRAS)で検討した。アデニンは印加する電位によって酸塩基平衡と配向が変化するために、特定の条件下でのみA-T型の水素結合対を形成することを明らかにした。 2.水素電極反応機構 水素電極反応は広く研究されてきたが、その反応機構は完全に理解されていない。水素発生下でのPt電極表面をSEIRASによりその場測定し、atopサイトに吸着した水素原子を観測した。過電圧の小さい領域では、吸着量と還元電流の関係がVolmer-Tafel機構でよく説明できることから、atopサイトに吸着した水素が反応中間体であることが結論された。ただし、過電圧の大きい領域では従来のモデルと矛盾があり、その詳細を検討している。 3.和周波発生(SFG)分光による機能性有機薄膜 新しい界面測定法としてSFGが注目されているが、理論的にも実験的にも未解決の問題が多く存在する。基板上に形成した有機薄膜をモデルとして、測定方法について検討を行った。ステアリン酸のLB膜の構造解析に利用し、偶数膜では最上部の分子層が反転し、その原因が膜生成時に添加されるカチオンに起因することを明らかにした。さらに、高分子薄膜に応用し、生体適合性の高い高分子が環境ホルモンを高濃度に吸収することなどを明らかにした。現在は固液界面系への応用展開を図っている。 4.パルスレーザーを用いた電位ジャンプ時間分解SEIRAS 既有装置の分解能(マイクロ秒)では追跡困難であったため、時間分解能をナノ秒に改良し、測定中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.X.Chen, A.Miki, S.Ye, H.Sakai, M.Osawa: "Formate, an Active Intermediate for Direct Oxidation of Methanol on Pt Electrode"Journal of American Chemical Society. 125. 3680-3681 (2003)
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[Publications] Ye, H.Noda, S.Morita, K.Uosaki, M.Osawa: "Surface Molecular Structures of Langmuir-Blodgett Films of Stearic Acid on Solid Substrates Studied by Sum Frequency Generation Spectroscopy"Langmuir. 19. 2238-2242 (2003)
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[Publications] S.Ye, S.Morita, G.Li, H.Noda, M.Tanaka, M.Osawa: "Structural Changes in Poly(2-methoxyethyl acrylate) Thin Films Induced by Absorption of Bisphenol A. An Infrared and Sum Frequency Generation (SFG) Study"Macromolecules. 36. 5694-5703 (2003)
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[Publications] S.Ye, H.Noda, T.Nishida, S.Morita, M.Osawa: "Cd^<2+>-Induced Interfacial Structural Changes of Langmuir-Blodgett Films of Stearic Acid on Solid Substrates : A Sum Frequency Generation Study"Langmuir. 20. 357-365 (2004)
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[Publications] S.Morita, S.Ye, G.Li, M.Osawa: "Effect of Glass Transition Temperature on the Absorption of Bisphenol A in Poly(acrylate)s Thin Films"Vibrational Spectroscopy. (印刷中). (2004)