2004 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面における光励起状態と電子移動過程の赤外分光解析
Project/Area Number |
15033201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大澤 雅俊 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (00108466)
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Keywords | 固液界面 / 電荷移動 / 反応ダイナミクス / 表面増強赤外分光 / 自己集積単分子膜 / 吸着 / 和周波発生 / 生態適合性高分子 |
Research Abstract |
1.機能性自己集積単分子膜の構築・構造解析・機能評価 Au表面に自己組織化したRu三核錯体の電気化学的挙動を検討し、電極電位の制御により、配位子を溶媒分子、CO、NOと自在に交換することに成功した。新しい機能素子として期待がもたれる。表面増強赤外分光(SEIRAS)を併用して、反応過程ならびに速度論を詳細に検討した。 2.電気化学振動機構の解明 Pt電極表面におけるギ酸酸化反応において、電位ならびに電流の振動が観測される。この現象の機構を時間分解SEIRASで追跡した。ギ酸の脱水反応で生じた被毒種CO以外に、ブリッジ型に吸着したフォルメート(HCOO)をはじめて観測した。同位体でラベルした試薬を用いた高速溶液交換測定で、フォルメートがギ酸反応中間体であり、フォルメートからCO_2への分解が反応律速であることを確定した。超高真空系で知られている「表面爆発(surface explosion)」の概念を導入することにより、特別の仮定なしで振動現象が説明できた。従来提案されてきた機構を根本から覆す新しいモデルを提案した。燃料電池触媒反応であるC1化合物の反応機構に関して有益な情報をもたらした。 3.Cu電極表面での分子吸着 芳香族化合物や指示電解質アニオンの吸着脱離挙動と吸着構造をSEIRASにより検討し、STM等との比較を行った。これら分子・イオンの吸着が、吸着水素の影響を大きく受けることをはじめて明らかにした。また、水素発生機構が、過去の速度論的解析と一致しないことを明らかにした。 4.赤外・可視和周波発生(SFG)分光による機能性高分子薄膜の表面構造解析 SFGは表面のみが高感度に観測できるという特徴がある。いくつかの類似構造を持つ高分子膜の表面の特性と構造を解析した結果、生体適合性の高い高分子であるpoly(2-methoxyethyl acrylate)表面が水分子と最も水素結合を作りやすいことを明らかにした。水素結合の作りやすさが生体適合性発現の一要素であると推定した。
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Research Products
(7 results)