2004 Fiscal Year Annual Research Report
光合成反応中心の分子機構の解明-新規な「光→電子」変換素子を目指して-
Project/Area Number |
15033212
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 正美 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70234846)
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Keywords | 光合成 / クロロフィル / クロロフィルa / クロロフィルd / 葉緑素 / 藻類 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
光合成の初期過程で重要な役割を担っているのがクロロフィルである。酸素発生型の光合成にはクロロフィルaが不可欠だとされてきたが、南洋のホヤに共生する原核藻類Acaryochloris marinaが、クロロフィルaではなくクロロフィルdで酸素発生型の光合成を実現していることを発見した。 通常の酸素発生型光合成は、系1および系2という二つの光化学系から構成されている。我々はこれまで、系1の初発電荷分離体がクロロフィルaのエピマーであるクロロフィルa'であり、系2の一次電子受容体がクロロフィルaの中心金属Mgが外れたフェオフィチンaであることを明らかにしてきた。ところが、クロロフィルdを主要色素とするA.marinaでは、系1の初発電荷分離体がクロロフィルdのエピマーであるクロロフィルd'であるのに対し、系2の一次電子受容体は通常と同じくフェオフィチンaであることを明らかにした。さらに、系2の初発電荷分離体も通常と同じクロロフィルaであった。すなわち、A.marinaはこれまでに例がない色素レベルで非常にキメラな構成であることが判明した。 A.marinaはホヤの体内に棲息しているが、他の藻類も多数共生している。興味深いことに、A.marinaの主要色素であるクロロフィルdはクロロフィルaよりも波長の長い光が利用できる。そのため、ホヤ内においてクロロフィルa型クロロフィルが吸収出来なかったより波長の長い光をA.marinaは活用できることになる。このことが、A.marinaがクロロフィルdをアンテナ色素として選んだ理由の一つだと推定される。 A.marinaが発見されて10年近くたつが、クロロフィルdの生合成経路は不明のままであった。ところが偶然、蛋白質分解酵素パパインがクロロフィルaをクロロフィルdに変換することを見出した。パパインのアミノ酸配列や遺伝子配列は既に明らかになっていることから、この結果を糸口としてA.marinaにおけるクロロフィルd生合成が明らかにできると期待される。
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Research Products
(5 results)