2003 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解分光計測を利用した光触媒機構初期過程の解明
Project/Area Number |
15033219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 耕一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90232678)
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Keywords | 酸化チタン / 光触媒 / 荷電担体 / 時間分解分光法 / 近赤外 / フェムト秒 / 微粒子 |
Research Abstract |
本年度,研究代表者らは,次のような研究を行った. 1.フェムト秒時間分解近赤外分光計の改良 フェムト秒時間分解近赤外分光計にプローブ光の時間ゆらぎを補正するための参照用分光・検出系を追加し,分光計全体を再構成した.この改良の結果,雑音レベルが従来の約1/10に減少した.この時間分解近赤外分光計を用いると,900から1500nmの波長領域にわたって10^<-4>の吸光度変化を検出できるようになった. 2.時間分解近赤外分光法による光触媒反応の初期過程の観測 フッ化カルシウム基板上に調製した酸化チタン微粒子(TIO4,直径約20nm)を光励起し,その後に生じる変化を時間分解近赤外分光計で測定した.測定の結果,時刻0fsでは波長900nmから1200nmにかけての吸収帯が現れ,この吸収帯が400fsになると消滅することが分かった.400fs以後の時間帯では,波長900nmから1500nmにかけて平坦な吸収帯が現れた.この速いスペクトル変化は,光励起で生成した電子がトラップされる過程を反映していると考えている.この速い減衰過程には電子-ホール対の生成密度は影響しなかった. 速い減衰過程がほぼ完了する1ピコ秒以降の時間領域では,別の減衰過程が観測された.電子-ホール対の生成密度依存性の測定結果などから,この時間領域での減衰は非ジェミネートの電子-ホール再結合過程を示すと考えられる. 本研究では,波長900から1500nmの領域で観測できるフェムト秒時間分解近赤外分光計を利用して,酸化チタン微粒子中に生成した荷電担体の時間挙動を精度よく測定できた.光散乱の影響を受けにくいために直接吸収測定が可能であるという近赤外分光法の特徴を利用して,他の手法からは得がたい知見を得ることができた.
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