2003 Fiscal Year Annual Research Report
d^<10>電子状態の金属イオンを含む複合金属酸化物光触媒による水の分解反応
Project/Area Number |
15033229
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
井上 泰宣 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30016133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 洋 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (50303186)
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Keywords | 光触媒 / 典型金属酸化物 / 水の分解反応 / 複合金属酸化物 / d^<10>電子状態 / 分極場効果 |
Research Abstract |
これまでに、d^<10>電子状態のp-ブロック金属イオン(Ga^<3+>,In^<3+>,Ge^<4+>,Sn^<4+>,Sb^<5+>)を含む金属酸化物にRuO_2を担持した場合に、水の光分解反応に対する光触媒となることを見出してきた。光触媒作用に対するd^<10>電子状態金属イオンの役割を考える上で、複数のd^<10>電子状態の金属イオンを持つ複合金属酸化物は重要であり、本年度は、In^<3+>とGe^<4+>金属イオンを併せ持つAInGeO_4(A=Li,Na)について水の分解反応に対する光触媒活性を調べた。1wt%RuO_2担持LiInGeO_4は、水素と酸素を与える安定な光触媒活性を示した。その活性はLiInGeO_4の焼成温度に依存し、1123K以上の焼成において焼成温度と共に活性が増加し1273Kで最大活性をとり、さらに焼成温度を上げると活性は急激に低下した。単独型酸化物であるLi_2GeO_3やLiInO_2にRuO_2を担持した場合に、両者とも、わずかな水素発生のみで光触媒活性は著しく低く、InとGeを組み含わせたLiInGeO_4場合に、活性が顕著に増加する複合化効果を見出した。RuO_2/NaInGeO_4は、RuO_2担持Na_2GeO_3およびNaInO_2に比べ、高い光触媒活性を与え、同様に複合化効果が見られた。LiInGeO_4を構成するGeO_4四面体およびInO_6八面体は、歪んでおり、それぞれ双極子モーメントを持つ。LiInGeO_4の高い光触媒活性は、双極子モーメントが分極場として働き、光励起における電荷分離を促進することを示した。さらに、バンド構造についてDFT計算を行い、LiInGeO_4はIn5s5p、Li2s2pおよびGe4s4pの混成軌道から構成される伝導帯を持ち、この混成軌道が励起電子の移動度を高め、高い光触媒活性を与えることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Sato, H.Kobayashi, N.Saito, H.Nishiyama, Y.Inoue: "Photocatalytic activities for water decomposition of RuO_2-loaded AlnO_2 (A=Li,Na) with d^<10> configuration"J.Photochem.Photobio.A. : Chem.. 158. 139-144 (2003)
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[Publications] J.Sato, N.Saito, H.Nishiyama, Y.Inoue: "Photocatalytic activity for water decomposition of Indates with octahedrally coordinated d^<10> configuration. I. Influences of preparation conditions on activity"J.Phys.Chem.. 107. 7965-7969 (2003)
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[Publications] J.Sato, H.Kobayashi, Y.Inoue: "Photocatalytic activity for water decomposition of Indates with octahedrally coordinated d^<10> configuration. II. Roles of geometric and electronic structures"J.Phys.Chem.. 107. 7970-7975 (2003)