2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体層の多層化による全固体型色素増感太陽電池の高効率化
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15033233
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
昆野 昭則 静岡大学, 工学部, 助教授 (50205572)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 固体化 / ヨウ化銅 / 多孔質半導体 / 多層化 / 電荷再結合抑制 / 酢酸マグネシウム |
Research Abstract |
本年度は、主としてTiO_2 n-型半導体層にZnO、MgO等の高バンドギャップ半導体を積層することによる多層化を検討したが、その過程でTiO_2をZnO、MgO等の酸化物で被覆しなくても、前駆体の酢酸塩と80℃程度の低温で処理するだけで、酸化物による被覆と同等の電荷再結合抑制効果が得られることが明らかとなった。 TiO_2/Dye/CuI色素増感太陽電池における多孔質酸化チタン電極表面修飾の効果 これまで、酸化チタンをはじめとする多孔質酸化物半導体層の表面に種々の高バンドギャップ酸化物を被覆して多層化することにより、n型半導体中に注入された電子の逆電子移動を抑制し、光電変換効率を向上できることが報告されている。しかしながら、この方法では、多孔質TiO_2内に均一に酸化物を被覆するのが難しく、さらに酸化物前駆体を導入後に高温で焼成する必要があるため色素吸着前に行わなければならなかった。ここでは、色素吸着後の多孔質TiO_2 n-型半導体層にZnO、MgO等の高バンドギャップ半導体の前駆体である種々の酢酸塩で処理することにより表面修飾を行った。その結果、Iscは減少するもののVocが大幅に向上し、全体として変換効率が向上した。調べた酢酸塩のなかでは、酢酸マグネシウムが変換効率4.2%と最も良好な結果を与え、酢酸亜鉛、酢酸ナトリウムでは、電流値Iscの低下が大きかった。特に酢酸ナトリウムの場合、色素が脱着してしまい、そのために電流値が低下したと考えられる。種々の酢酸塩での処理によりVocが向上した理由については、多孔質TiO_2表面に形成された酢酸塩の薄層が、剥き出しのTiO_2とCuIの接触界面による電荷再結合を抑制するためであると考えられ、従来の高バンドギャップ酸化物による被覆と同様の効果が得られたものと考えられる。この方法では_色素吸着後に処理するため、エタノールで煮沸する程度の温度で行うことができ、また再現性も良好である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] G.R.R.A.Kumara: "Efficient dye-sensitized photoelectrochemical cells made from nanocrystalline tin(IV) oxide-zinc oxide composite films"Semiconductor Science and Technology. 18・2. 312-318 (2003)
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[Publications] 昆野 昭則: "CuIを用いる全固体型色素増感太陽電池"機能材料. 23・6. 26-33 (2003)
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[Publications] 昆野 昭則: "擬固体色素増感太陽電池"太陽エネルギー. 29・4. 18-23 (2003)
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[Publications] 昆野 昭則(分担): "色素増感型太陽電池の開発技術"技術教育出版社. 229 (2003)