2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノレプリカによる高表面積酸化チタン電極を用いた色素増感型太陽電池
Project/Area Number |
15033265
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白鳥 世明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00222042)
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Keywords | ナノ / レプリカ / 高表面積 / 酸化チタン / 電極 / 色素増感 / 太陽電池 / 化学溶液析出 |
Research Abstract |
色素増感太陽電池(DSSC)は変換効率10%を達成し、低コストな次世代型の太陽電池として広く注目されている。これは高効率且つ安価であることから、実用化に向けての検討がなされているが、今新たな課題として、セルをプラスチックフィルム化する要求がある。目的は軽量・薄型・フレキシブル化であるが、そうすることで、製造コストの低減や携帯用・屋内用・機器用等の需要拡大等、様々なメリットが派生する従来の色素担持多孔質TiO_2膜の作製は、TiO_2微粒子と有機系分散剤の混合ペーストを導電性基板に塗布し、高温(約500℃)で焼成することにより行われてきた。一方、過飽和化学溶液から不均一核生成により100℃以下の低温で結晶性TiO_2膜を得る化学溶液析出法が報告されている。この手法は、鋳型による微細構造制御が可能である等上述の欠点を補う手法であるが、緻密な構造の膜が得られる為、ポーラス構造を必須とするDSSCの電極材料としては不適当である。 そこで本研究では、多孔質・高表面積構造が得られる交互吸着法と低温で結晶性TiO_2膜が得られる化学溶液析出法を組み合わせた新しい低温製膜技術を検討し、析出表面の形態を制御することで高度な規則構造を有するTiO_2光電極の作製を試みた。その結果、交互吸着法・化学溶液析出法のサイクルを繰り返す事により、素子特性は大幅に改善され、Isc=3.23mA cm^<-2>,η=1.32%を示した。また特に注目すべきは他の低温製膜法と比較してVocが大きく曲線因子(FF)が比較的高い点である。このことは、電荷の再結合が起こりにくく、その輸送特性に優れている事を意味している。フィルム型色素増感太陽電池開発のキーポイントとなる酸化物半導体薄膜の新規低温製膜法として、多孔質・高表面積構造が得られる交互吸着法と低温で結晶性TiO_2膜が得られる化学溶液析出法を組み合わせた鋳型法を検討した。本手法は、結晶配向や微細構造制御が可能という従来の製膜法には無い特徴を有し、尚且つ高い性能を有している事を確認した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Takenaka, Y.Maehara, H.Imai, M.Yashikawa, S.Shiratori: "Layer-by-layer self assembly replication technique application to photoelectrode of dye-sensitized solar cell"Thin Solid Films. 438・439. 346-351 (2003)
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[Publications] 竹中, 前原, 杉, 吉川, 白鳥世明: "ナノレプリカTiO_2薄膜の低温形成及び色素増感太陽電池への応用"第50回応用物理学会学術講演会. Vol.3. 28-a-B-5 (2003)
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[Publications] S.Takenaka, K.Onozuka, S.Asahi, S.Sugi, M.Yoshikawa, H.Imai, S.Shiratori: "Fabrication of nano-replica TiO_2 film at low tenperative and its application to dye-sensitized solar cell"Thin Solid Films. (to be published.). (2004)