2003 Fiscal Year Annual Research Report
ソルボサーマル法を駆使するゼロリコンビネーション光触媒の開発
Project/Area Number |
15033272
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
古南 博 近畿大学, 理工学部, 講師 (00257966)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / 硝酸イオン還元 |
Research Abstract |
本研究では酸化チタンを用いた光触媒反応によるNO_3^-のN_2への還元無害化を検討した。TiO_2(50 mg)を硝酸(または亜硝酸ナトリウム)水溶液(50μmol、5 cm^3) に懸濁させ、正孔捕捉剤として所定量のシュウ酸(OA) 、金属助触媒源として塩化銅または塩化パラジウムを加え、水酸化ナトリウムにてpH調整後、磁気撹拌、アルゴン雰囲気下、室温で高圧水銀灯の紫外光(> 300 nm)を照射した。 0.5 wt%Cu-TiO_2を用いたとき、懸濁液のpHを上げると生成物はNH_3からNO_2^-へと変化した。次に触媒に銅パラジウム-酸化チタン(CuPd-TiO_2)を用いてpH12で12 h光照射するとNO_2^-は生成せず、代わりにN_2が生成し、光触媒によるNO_3^-のN_2への還元無害化が可能であることを見出した。照射時間が短い領域でNO_2^-が一時的に生成するが、時間を延ばすとNO_2^-はすぐに減少し検出されなくなった。一方、N_2の生成は誘導期を伴って増加した。つまり、NO_3^-のN_2への還元はNO_2^-を中間生成物とする逐次反応で進行していることが推察される。CuおよびPdの担持量の影響を検討したところ、TiO_2に対してCuが0.5 wt%、Pdが1.0 wt%のときに最大活性となり、いずれかの成分をさらに増加させると活性は減少した。 次にNO_3^-のN_2への還元をさらに明らかにするために基質をNO_2^-に代え、触媒としてパラジウム-酸化チタン(Pd-TiO_2)を用いてアルカリ性条件下で光触媒還元を行うと、NO_2^-は誘導期を持たずにN_2へと還元された。触媒にCuPd-TiO_2を用いるとN_2が選択的に生成するもののPd-TiO_2と比べるとその生成量は減少し、Cu担持量が増えるにしたがって生成量はさらに減少した。またCu-TiO_2触媒を用いた場合、N_2生成は見られなかった。 以上のことから水中NO_3^-の光触媒還元による無害化反応においてCuPd-TiO_2触煤が有効に作用する。助触媒のCu、Pdの機能は異なり、CuはNO_3^-の酸素を引き抜く2電子還元の過程に、PdはNO_2^-からN_2を生成する3電子還元の過程に有効であると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Kominami, H.Kumamoto, Y.Kera, B.Ohtani: "Photocatalytic Decolorization and Mineralization of Malachite Green in An Aqueous Suspension of Titanium(IV) Oxide Nano-particles under Aerated Conditions : Correlation between Some Physical Properties and Their Photocatalvtic Activity"Journal of Photochemistry Photobiology A : Chemistry. 160・1-2. 99-104 (2003)
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[Publications] H.Kominami, J.-i.Kato, S.-y.Murakami, Y.Ishii, M.Kohno, K.-i.Yabutani, T.Yamamoto, Y.Kera, M.Inoue, T.Inui, B.Ohtani: "Solvothermal Syntheses of Semiconductor Photocatalysts of Ultra-high Activities"Catalysis Today. 84・3/4. 181-189 (2003)
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[Publications] H.Kominami, Y.Ishii, M.Kohno, S.Konishi, Y.Kera, B.Ohtani: "Nanocrystalline brookite-type titanium(IV) oxide photocatalysts prepared by a solvothermal method : Correlation between their physical properties and photocatalytic activities"Catalysis Letters. 91・1-2. 41-47 (2003)
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[Publications] B.Pal, S.Ikeda, H.Kominami, Y.Kera, B.Ohtani: "Photocatalytic Redox-Combined Synthesis of L-Pipecolic Acid from L-Lysine by Suspended Titania Particles : Effect of Noble Metal Loading on the Selectivity and Optical Purity of the Product"Journal of Catalysis. 217. 7-12 (2003)
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[Publications] 古南 博: "ソルボサーマル法による高活性光触媒の調製"マテリアルインテグレーション. 17・2. 152-159 (2003)
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[Publications] 古南 博: "ソルボサーマル法を駆使した高活性半導体光触媒の合成"光触媒. 11. 8-11 (2003)
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[Publications] 古南 博: "図解「光触媒のすべて」:ソルボサーマル法酸化チタン"工業調査会. 308(2) (2003)