2003 Fiscal Year Annual Research Report
飽和型シクロポリシランを前駆体とする開殻化学種の生成と反応
Project/Area Number |
15036213
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松本 英之 群馬大学, 工学部, 教授 (90008467)
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Keywords | シリルアニオン / シリルラジカル / シクロポリシラン / 開殻科学種 / ジアニオン / ビラジカル |
Research Abstract |
ケイ素上にハロゲンを有する単環系ポリシランから誘導される開殻化学種について、以下の知見を得た。 1)trans-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチル-1,3-シクロテトラシラン(1)をN-ブロモスクシンイミド(NBS)で臭素化し、trans-1,3-ジブロモ-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチルシクロテトラシラン(2)を得た。次いで、2を、ベンゼン中、過剰量のカリウムと反応させた。この場合、還元反応は円滑に進行して、環状ポリシリルアニオンとして、(trans-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチル-1,3-シクロテトラシランジイル)ジカリウム(3)が得られた。3の結晶構造は、X線結晶解析によって決定した。その結果、結晶中で、3とベンゼンが交互に積み重なった一次元の超分子構造をとっていることが判明した。 2)18-クラウン-6エーテル存在下、THF中で、3を生成し、反応性について次の知見を得た。3とメタノールとの反応では、ジヒドロシクロテトラシラン1が生成する(収率84%)。また、ヨードメタンとの反応では1-メチル-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチルシクロテトラシラン(4)が生成した(収率74%)。しかし、この場合、メチル基が二個導入された化合物は生成しなかった。ヨードメタンとの反応の結果は、シクロテトラシラン環上のtert-ブチル基の大きな立体障害に起因するとして説明される 3)ジブロモテトラシラン2をジカリウム体3に還元する際、条件を選ぶと、(trans-1,2,2,3,4,4-ヘキサ-tert-ブチル-1,3-シクロテトラシランジイル)ビラジカル(4)が生成し、結晶として単離できることが判明した。この結果は、結晶として単離可能なシリルビラジカルの最初の例である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masafumi Unno, Hideyuki Matsumoto: "Structure and Oxidation of Octakis(tert-butyldimethylsilyl)octasilacubane"Journal of Organometallic Chemistry. 685. 156-161 (2003)
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[Publications] Soichiro Kyushin, Hideyuki Matsumoto: "2,3,6,7,10,11-Hexakis(dimethylsilyl)triphenylene"Chemistry Letters. 32. 1048-1049 (2003)
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[Publications] Soichiro Kyushin, Hideyuki Matsumoto: "Ladder Polysilanes"Advances in Organometallic Chemistry. 49. 133-166 (2003)
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[Publications] Soichiro Kyushin, Hideyuki Matsumoto: "Bicyclic and Tricyclic Ladder Compounds Consisting of Two Oligosiloxane Chains Bridged by Si-S Rungs"Chemistry Letters. 33. 24-25 (2004)
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[Publications] Soichiro Kyushin, Hideyuki Matsumoto: "(trans-1,2,2,3,4,4-Hexa-tert-butyl-1,3-cyclotetrasilanedily)potassium : Supramolecular Structure of the Silylpotassium-Benzene Complex"Organometallics. 23. 311-313 (2004)
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[Publications] 海野雅史, 松本英之: "オクタシラキュバンの科学"有機合成化学協会誌. 62. 107-115 (2004)