2003 Fiscal Year Annual Research Report
GeVガンマ線検出器のための光電子増倍管読み出しフロントエンド回路の開発
Project/Area Number |
15037209
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
田村 忠久 神奈川大学, 工学部, 助手 (90271361)
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Keywords | 宇宙線 / 宇宙科学 / 国際宇宙ステーション(ISS) / 放射線,X線,粒子線 / 電子デバイス,機器 |
Research Abstract |
本研究では、加速器実験用のシリコン検出器の読み出しのために開発された、32チャンネル分の前置増幅器、波形整形増幅器、およびサンプルホールドを有するVLSIであるVA32hdr2(IDEAS社)を、マルチアノード光電子増倍管(MAPMT)の読み出しのために最適する開発を行った。VA32hdr2をもとにMAPMT読出し用に改良されたVA32hdr11は既に存在するが、今回開発したチップは、このVA32hdr11をさらにMAPMTのダイナミックレンジが最大になるゲインで読出せるように最適化したものである。今年度の開発はこのチップの製作までを予定していたが、限られた予算規模と迅速性を重視して、既存のVLSIテクノロジーの範囲内での改良を研究方針としたことで、チップの完成が予想以上に早まった。そこで次年度に行う予定の新チップのための新しいフロントエンド回路の開発を行う前に、既存のフロントエンド回路にこの新チップを塔載し、MAPMT8本分(512チャンネル、16チップ分)の読み出しユニットを用いてテストを行った。ノイズはカタログ値である0.8fCよりも大きい12fC(rms)であった。この読み出しユニットを取り付けたビームテスト用シンチファイバー(SciFi)検出器を用いて、2003年9月に欧州原子核共同研究所(CERN)において、電子、陽子、μ粒子によるビーム照射実験を行った。シャワー画像を取得したところ、100GeVの電子のシャワー極大でも信号が飽和しないことを確認した。シャワー画像について、電子陽子を選別する手法である全エネルギー損失に対するシャワー軸から5mm以内でのエネルギー損失の割合の分布を求めたところ、50GeVの電子と150GeVの陽子についてシミュレーションとビーム実験の結果が良く一致した。既存のフロントエンド回路を使ったためノイズが大きいという問題点があったが、100GeVの電子によるシャワーのコアの部分でも信号が飽和しないことを確認できた。新しいフロントエンド回路でノイズを低減することができればさらにダイナミックレンジが広がることが期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Tamura, et al.: "Development of a PMT Readout System with Viking Chips for the SciFi Detector of CALET"Proceedings of 28th International Cosmic Ray Conference. Vol.4. 2189-2192 (2003)
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[Publications] T.Yamashita, et al.: "Performance of 64-multi-anode photomultiplier and scintillating fiber for the CALET detector"Proceedings of 28th International Cosmic Ray Conference. Vol.4. 2193-2196 (2003)
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[Publications] 田村忠久, 他 CALETグループ: "CALETの開発III:プロトタイプのCERNビーム実験による性能評価"Proceedings of The 4th Space Science Symposium. (2004)