2003 Fiscal Year Annual Research Report
地震・傾斜変動並行観測による諏訪之瀬島火山の爆発の発生過程と発生場変化の研究
Project/Area Number |
15038214
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
八木原 寛 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60295235)
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Keywords | 広帯域地震観測 / 火山性地震 / 諏訪之瀬島火山 / 震源分布 / 地震波速度 / 観測点補正値 |
Research Abstract |
平成15年度は諏訪之瀬島火山に活動水口を囲む広帯域地震観測点を設置し観測を開始した.天候や海況の不順に影響され,予定の地震観測点を全で設置完了したのは平成16年1月にずれ込んだ,傾斜観測点は設置完了できなかった.震源精度が確保できる観測卓配置が整った平成15年10月下旬以降のデータを用い,微噴火に伴う地震,A型およびB型地窯の震源分布を求めた.ただし,この期間中は爆発的噴火が発生しなかった,諏訪之瀬島火山は活発な活動を継続しているが,地理的制約から活動火口を囲む観測網の構築や長期の観測は困難で,特に深さの精度を向上させた火山性地震の震源はこれ零で得られていなかった.噴火地震の震央は火口付近と予想されるが,火口付近に観測点を設置することはできないため,観測データから地震波速度を決めることが深さの絶対値の精度を向上させる手段と考えた.そこで,観測データから地震波速度モデルを求め,観測点補正値を評価することにした.地震波速度モデルは,速度一定モデル,深さ方向にのみ速度が変化する1次元モデル,3次元モデルの順に解析した結果,走時残差が有意に小さいことと計算過程の残差の推移の点から,速度一定モデルが最適のモデルであることが分かった.また,この速度モデルに対する各観測点の残差分布を見たところ,その平均値が全観測点,P波およびS波ともに読み取り誤差よりも小さく,かつその標準偏差よりも小さくなり,観測点補正値の導入は必要が無いと評価した.この結果を踏まえて震源の再計算を行った.ダンピングを一切かけずに収束した解だけを震源が決まった地震とみなした結果,空中に飛び出して震源が決まる地震は無くなり,噴火地震は活動火口直下の海水準付近から極浅部の領域で発生していることが分かった.また,空振を伴わないB型地震の発生位躍と噴火地震の発生位置は共通することが分かった.
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