2003 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ系前駆細胞の生成過程におけるIL-7レセプターの機能
Project/Area Number |
15039218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生田 宏一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90193177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 海天 京都大学, ウイルス研究所, 日本学術振興会特別研究員
上田 正道 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50115797)
真木 一茂 京都大学, ウイルス研究所, 講師 (10311424)
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Keywords | サイトカインレセプター / インターロイキン7 / T細胞 / T細胞抗原受容体 / T細胞抗原受容体 / 転写 |
Research Abstract |
造血幹細胞は、共通リンパ系前駆細胞をへてT細胞・B細胞・NK細胞系列に分岐すると考えられている。しかしながら、共通リンパ系前駆細胞がインターロイキン7レセプター(IL-7R)を発現することと、その生成に転写因子Ikarosが必須であること以外に詳しいことが明らかでなく、造血幹細胞からの免疫系細胞の分化を解析する上で大きな障害になっている。 リンパ系前駆細胞の生成過程におけるIL-7Rの機能を明らかにするために、IL-7R遺伝子の発現制御機構を解析した。まず、胸腺におけるIL-7Rの発現を解析すると、DN分画とSP分画で発現していたが、DP分画ではまったく発現が見られなかった。次に、各分画の,IL-7Rα鎖mRNAを解析したところ、DP分画で顕著に低下していた。以上の結果から、IL-7Rの発現が転写レベルで制御されることが明らかとなった。 次に、マウスIL-7Rα鎖遺伝子のプロモーター領域を解析した。まず、転写が翻訳開始点の上流51bpと126bpの2カ所から開始することを確認した。マウスとヒトを比較すると、転写開始点の上流200bpの領域が高度に保存されており、Ikaros、PU.1、Runxの結合モチーフが存在した。また、マウスにはグルココルチコイド受容体(GR)の結合モチーフも存在した。次に、これらの領域をプロB細胞株38B9に導入し、レポーター法により解析すると、特異的な転写活性化能が検出された。この時、PU.1モチーフを破壊すると10%、GRモチーフを破壊すると44%減少し、両者を変異すると活性が完全に失われた。さらに、ゲルシフト法にて、38B9細胞の核抽出物の中にGRモチーフに結合する活性が検出され、この活性は抗GR抗体により消失した。一方、プロT細胞株KKFでは、グルココルチコイド処理によりIL-7Rの発現が増強した。 以上の結果から、IL-7Rα鎖遺伝子の転写誘導において、PU.1とGRが重要な働きをしていることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Watanabe, N.: "Elimination of local macrophages in intestine prevents chronic colitis, in interleukin-10 deficient mice."Dig.Dis.Sci.. 48. 408-418 (2003)
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[Publications] Kim-Saijo, M.: "Generation of a transgenic animal model of hyperthyroid Graves' disease."Eur.J.Immunol.. 33. 2531-2538 (2003)