2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15039235
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
一色 孝子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教授 (10342750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 亜弓 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (00370122)
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Keywords | 神経幹細胞 / ショウジョウバエ / 細胞系譜 |
Research Abstract |
ショウジョウバエでは、ニューロブラストと呼ばれる神経幹細胞様の細胞が非対称分裂を繰り返しながら順次異なる子孫細胞を作り出す。我々は、以前に、ほぼ全てのニューロブラスト系譜でHunchback、Kruppel、Pdm、Castorといった転写因子のセットが順次発現されること,さらに、これらの転写因子はニューロブラストや子孫細胞に時間的な個性を与えていることを示した。この転写因子セットの発見により、ショウジョウバエ中枢神経系においては神経幹細胞系譜の逐次的形成の機構の分子的解析が容易となっているが、この機構はまだその多くが謎のままである。そこで、我々は、この機構に含まれる新たな因子の同定を目的として、神経系で広範囲に時期特異的に発現される遺伝子の検索を行った。その結果、複数の線虫heterochronic遺伝子のショウジョウバエホモログをそのような因子の候補として見いだした。heterochronic遺伝子群は、線虫の幼虫発生において細胞に時間的個性を与える役割を持つ遺伝子群である。このうちの一つであるlin-29はKruppelと類似したZn fingerモチーフを持つタンパク質をコードしており、ショウジョウバエLin-29はニューロブラスト系譜形成後期に発現されていた。また、Lin-29に先立ってKruppelもCastor発現後に再び発現されるが、Lin-29と後期のKruppelの発現は相互排他的であり、Lin-29は後期のKruppelの発現を抑制することがわかった。現在、KruppelとLin-29のさらなる機能解析を中心に、これまで不明であったニューロブラスト系譜形成の後期過程について研究を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takako Isshiki, Chris Q.Doe: "Maintaining Youth in Drosophila Neural Progenitors."Cell Cycle. 3巻3号. 296-299 (2004)
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[Publications] 一色 孝子: "神経幹細胞システムによる神経細胞特異化の分子機構"蛋白質核酸酵素. 49巻3号. 228-233 (2004)