2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15039235
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
一色 孝子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教授 (10342750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 亜弓 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (00370122)
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Keywords | 神経 / 幹細胞 / ショウジョウバエ / 転写因子 |
Research Abstract |
発生過程において、神経幹細胞の個性は常に一定でなく時間とともに変化していく。このため、一つの幹細胞は多様な子孫神経細胞を一定の順番で作り出すことができる。ショウジョウバエの神経系形成の前半過程において、ほぼ全ての幹細胞が、Hunchback、Kruppel、Pdm、Castorという4種の転写因子を順次発現し、これらの転写因子の発現を自律的に切り替える。しかし、Castor発現開始以降も神経幹細胞は胚発生期だけでも10回程度分裂するにもかかわらず、発生後期における神経幹細胞の時間変化についてはほとんど謎であった。本研究では、まず、転写因子の発現パターンにもとづいて時期特異的に発現される遺伝子を検索し、Castor発現開始以降に神経幹細胞において一過的に発現される一群の転写因子を同定し、それらの転写因子の正確な発現順序を明らかにした。それらの転写因子の一つはKruppelに類似した転写因子であり、DNA結合部位を互換する実験結果から、Kruppelと同様のDNA結合特性を持つと考えられるが、時期特異性を与えていることを明らかにしている。 胚発生が終了すると、腹部の神経幹細胞は死滅するのに対して、脳と胸部の神経幹細胞の多くは、長い休止期に一旦入った後、幼虫期に分裂を再開し、一幹細胞あたり平均100個にも及ぶ神経細胞を産生する。本研究では、幼虫型神経幹細胞の時間変化についても解析を開始した。幼虫型神経幹細胞においても胚性型と同様な後期特異的転写因子の発現推移が認められた。すなわち、時期や作り出す細胞数が全く異なるにもかかわらず、これら2種の神経幹細胞は同じような内在性のメカニズムに従って時間変化していくことがわかった。また、胚性型から幼虫型への変換と時期特異的転写因子の発現切り替えとの間に強い連携があることを示唆するデータも得ている。
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