2004 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによるCD44‐プロテオグリカン複合体の相互作用解析
Project/Area Number |
15040205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺沢 宏明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10300956)
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Keywords | 交差飽和法 / CD44 / NMR / 相互作用解析 / プロテオグリカン / ヒアルロン酸 / コンドロイチン硫酸 / 立体構造変化 |
Research Abstract |
細胞の遊走機構を理解する上で、細胞外マトリックスの主要成分であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(PG)と主要な細胞接着分子であるCD44との相互作用を構造生物学的に解明することは重要である。今年度は、CD44のヒアルロン酸(Hyaluronic acid ; HA)結合ドメイン(HA-binding domain ; HABD)とコンドロイチン硫酸(ChS)の基本骨格であるコンドロイチン(CH)との相互作用解析をNMR法により行った。まず、当研究室で開発された、分子間相互作用界面を正確に決定する手法である交差飽和法を適用した。その結果、CD44 HABD上のCH結合界面を同定することに成功した。次に、CHの結合に伴うCD44 HABDの化学環境の変化を検知する、化学シフト摂動実験を行った。その結果、顕著な化学シフト変化が、結合界面と異なる領域において観測された。これらの結果は、CH結合によってHABDに大きな構造変化が誘起されることを示す。昨年度報告したHA複合体形成における結合界面および化学シフト変化と比較すると、結合界面はほぼ一致しているが、構造変化に起因すると思われる化学シフト差が観測された。この結果は、HABDが異なる構造のリガンドに対して柔軟にフィットする可能性を示す。現在、コンドロイチン硫酸AおよびCについても解析を進めている。 生体内において、ChS鎖はコアタンパク質に結合したPGとして存在している。遊離状態のChSとコアタンパク質結合状態のChSとの間でCD44による認識に差があるか否かは興味深い問題である。CD44とPGとの相互作用様式を解明する方法に、交差飽和法を速い交換系に適用する転移交差飽和法がある。測定条件を確立するため、SPR法による検討を進めている。 HA結合状態でのCD44 HABDの立体構造決定を進めており、最終的な構造精密化を行っている。
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Research Products
(2 results)