2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15040218
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
結城 伸泰 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (60285913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 広子 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40271499)
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Keywords | 脂質 / 神経科学 / 糖鎖 / 脳神経疾患 / 免疫学 |
Research Abstract |
有髄神経軸索は髄鞘で覆われ、隣り合う髄鞘の間にランビエ絞輪と呼ばれる間隙がある。絞輪部軸索膜には、ナトリウムチャネルが集簇している。傍絞輪部では、髄鞘と軸索とが固く結合し、イオンチャネルは存在しない。傍絞輪部に隣接する部位にカリウムチャネルが集簇している。活動電位の速やかな伝導のためには、ランビエ絞輪周辺のイオンチャネルの適正な局在化が重要である。軸索型ギラン・バレー症候群では、GM1などの複合型ガングリオシドに対する抗体により、運動神経のナトリウムチャネル機能が障害され、運動麻痺を引き起こすとされている。本研究では、ガングリオシドがランビエ絞輪周辺のイオンチャネル局在化に働くかどうか、検討した。複合型ガングリオシドを欠失するノックアウトマウスの坐骨神経では、傍絞輪部にカリウムチャネルが局在し、軸索と髄鞘との結合に関わる分子であるCasprの発現が低下していた。一部の髄鞘ループが軸索膜から解離しているのを電子顕微鏡で確認し、傍絞輪部構造異常を裏付ける所見を得た。カリウムチャネル局在の異常は、週齢が高くなるにつれて増加した。坐骨神経の運動神経伝導速度は、ガングリオシド欠失マウスで有意に遅延していた。したがって、複合型ガングリオシドの欠失により、傍絞輪部における軸索と髄鞘との結合を維持できず、イオンチャネルの局在が変化し、伝導異常を生じると考えられた。さらに、GMIガングリオシド感作による軸索型ギラン・バレー症候群モデルウサギの病変を検討した。抗GM1抗体価が上昇した運動麻痺発症初期のウサギで、脊髄前根の絞輪部軸索膜上に補体C3フラグメントが沈着し、ナトリウムチャネルは減衰または消失していた。ふたつの異なる動物実験において、複合型ガングリオシドが末梢運動神経の伝導機能に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)