2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15042201
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 哲二 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90183029)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 範之 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80255588)
|
Keywords | 金融 / 制度 / 流動性 / 事業再生 / 資本市場 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて金融制度に焦点をあてて、1990年代の日本で生じた経済成長率とTFP低下の原因と今後の望ましい制度設計に関する実証研究を行った。岡崎は、長期的な視野から金融分野における制度変化がどのようなメカニズムで生じるかについて研究し、企業の属性による成長率・倒産確率・参入確率の相違と企業の属性変化が制度変化にそれぞれどの程度寄与しているかを定量的に明らかにした。この結果はディスカッション・ペーパーとして公表されている。また、戦前の銀行合併の経験から、望ましい銀行合併の様式に関する知見を引き出し、学会誌に発表した。一方、柳川は、主に事業再生・企業再生活動に関して、調査・研究を行った。事業再生の問題は、日本経済の活性化に大きなインパクトがあると予想される現実的に重要な問題であるばかりではなく、現在の日本の金融システムおよび企業組織のあり方について、大きな変革を迫るものである。また、法律や制度が大きく影響する問題でもある。そこで本年度は、事業再生に積極的に関わっている事業再生ファンドを中心としてヒアリング調査を20社近く行い、その結果を用いてケーススタディ、理論分析を行った。その成果の一部はディスカッション・ペーパーとしてまとめられている。そこでは、さまざまな制度変更が日本の金融システムを新しい形で変革している点が、個別のケースを通して明らかにされている。また、法制度の変化が金融システムにどのように影響を与えているのかという問題意識から、株式消却の制度変更が、企業の自社株消却のインセンティブや株式市場に与える影響についても、昨年度に引き続き研究をおこない、その成果は学術雑誌に刊行が決まっている。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 岡崎哲二, 澤田充: "銀行統合と金融システムの安定性"社会経済史学. 69-3. 25-46 (2003)
-
[Publications] 岡崎哲二: "制度と経済発展のプロセス"Harvard Business Review. 28-6. 141-144 (2003)
-
[Publications] 広瀬純夫, 柳川範之, 斎藤誠: "企業内キャッシュフローと企業価値"経済研究. (発表予定). (2004)
-
[Publications] Tetsuji Okazaki: "Selection and imitation in institutional evolution"東京大学CIRJEディスカッションペーパー. F-256. (2004)
-
[Publications] 柳川範之, 大木良子: "事業再生ケーススタディ:日東興業のケース"東京大学CIRJEディスカッションペーパー. (発表予定). (2004)
-
[Publications] 柳川範之, 大木良子: "事業再生ケーススタディ:雪印乳業のケース"東京大学CIRJEディスカッションペーパー. (発表予定). (2004)
-
[Publications] 大竹文雄, 柳川範之編: "平成不況の論点 - 検証 失われた10年"東洋経済新報社. 192 (2004)