2004 Fiscal Year Annual Research Report
「中世考古学の総合的研究」調整班B02学融合方法論研究(自然科学・古環境系)
Project/Area Number |
15068101
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 英男 富山大学, 理学部, 教授 (30134993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 修治 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30107718)
金原 正明 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (10335466)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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Keywords | 考古学 / 地球化学 / 地球電磁気学 / 環境変動 / 人類学 |
Research Abstract |
調整班では,専門の研究を調整・総合し,考古学・文献史学など他研究グループとの融合も展開して全体目標を達成することを目指している.14C法・考古地磁気年代法と化学・古環境学研究を併せる年代測定,化学分析による中世陶器の流通解析,古環境解析(災害史も含む),遺跡探査がキーワードである. 総合研究会や共同調査地で研究打合わせを行い,また2回の研究集会(富山)で各研究の成果報告と全般的問題を議論した.自然科学の複数分野が共同で行う研究、考古学や他分野と積極的に関わる研究テーマを探り重点的に取組んでいる.その一つとして,遺跡近傍の堆積土から古環境や自然災害を探る研究として,佐賀県樫原湿原と静岡浅羽町でコア試料を採取し総合的に解析した.樫原湿原コア(14C年代:A.D.1000-1300年)では,各種パラメータより3m以深の水田環境から水田が放棄された湿原環境へ変化したとの結果が得られ,帯磁率ではその変換期に焼き畑(や山火事)があった可能性も指摘された. 静岡浅羽町の海抜1.5mの海の近傍(現在は水田地帯)で11.2m長のコアを調査した.中世には広大な潟が存在し水運拠点として浅羽湊があり,1498年の明応地震(M8.2-8.4)で壊滅し,浅羽町には高さ5mの津波が到達したと推定される.過去に何度か津波襲来を受けていると考えられており,コアの総合調査でも4m深度で帯磁率等から津波跡が示唆された.同深度で14Cからみた堆積速度は大きく変わり,珪藻も汽-海水生から陸生(沼生)の変化し,砂→シルト→腐植土という堆積物からも環境変化が判明した.堆積物コアの分析は,中世の生活に影響した気候変動や災害史にも関連し研究の意義は大きい.
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Research Products
(7 results)