2005 Fiscal Year Annual Research Report
「中世考古学の総合的研究」調整班B02学融合方法論研究ー自然科学・古環境系
Project/Area Number |
15068101
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 英男 富山大学, 理学部, 教授 (30134993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 修治 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30107718)
金原 正明 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (10335466)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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Keywords | 考古学 / 地球化学 / 地球電磁気学 / 環境変動 / 人類学 |
Research Abstract |
本年度は調整班として,6月に名古屋大学で12月には沖縄県立埋蔵文化財センターで会議を開いた.12月の会議では沖縄県の考古学関係者と一般向けの講演会も開催した. 特定領域研究の基本的課題である年代について,考古地磁気法と14C年代推定法の研究を進めた.考古地磁気法では,研究が遅れている北海道と東北地域での研究を開始し,本年度対象とした遺構では第一次近似の推定年代は考古学的年代と良く合った.14C年代測定法では,信楽町黄瀬ハンシ窯跡の木炭塊の研究から,窯の使用暦年代はAD1223-1294年と推察され考古学年代とも調和した.また鎌倉出土人骨のゼラチンコラーゲンの研究では,中世集団墓地遺跡の人骨は由比ヶ浜南遺跡の人骨に比べて100年程古い傾向が見られた. 金原は,中世の環境変動の解明と農耕変遷の究明の課題として大友府内町遺跡の堆積物の分析を進め,14世紀に溝の機能分化はないが16世紀では排水と下水の機能の分化が示唆された.植田によるDNA分析では手法の確立とデータ集積を行った.二宮は,中世考古学資料の分析研究において,微小部蛍光X線分析装置の有効性を示し,生産流通の時代的空間的特徴を得る研究を進めた.またアルゴン誘導結合プラズマ発光分光分析による陶磁器の研究法を確立し,生産地と消費地遺跡の資料のデータ蓄積を図っている.石田は,11月4-6日に第59回日本人類学会大会を開催し,公開シンポジウム「中世鎌倉の素顔」では中世の人類学と考古学を紹介した.北大総合博物館保管のオホーツク文化人骨の整理と復元を実施し,北部オホーツクはサハリンアイヌに近いこと,東部オホーツクの独自性が判明した.また,中世鎌倉の由比ヶ浜南遺跡の当時の人口構成では,男女比は1:1,未成年と成人個体の比は2:3であることを示し,当時の平均寿命は24.0歳という結果が得られた.
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Research Products
(7 results)