2003 Fiscal Year Annual Research Report
中世日本列島北部-サハリンにおける民族の形成過程の解明―市場経済圏拡大の観点から―
Project/Area Number |
15068201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右代 啓視 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸第一課長(研究職) (30213416)
深沢 百合子 札幌国際大学, 人文・社会学部, 教授 (90316282)
増田 隆一 北海道大学, 先端科学技術共同センター, 助教授 (80192748)
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Keywords | 中世交易 / 防御性施設 / アイヌ文化 / DNA分析 / 鉄鍋 |
Research Abstract |
(1)宗谷湾奥の孤立丘稚内市「増幌チャシ」を測量調査した.この結果、1)頂部平坦面が3本の壕によって4つに区画されていること、2)各区画の中に方形の住居址状の段が残されていることが判明した。これは予想していたよりもかなり複雑で機能分化した構造をもつ施設であるので、擦文文化期ではなく、それ以降アイヌ文化期にいたる時期に属し、サハリンとの交易のために宗谷海峡を航行する舟を監視する目的で建設された、平地住居をともなう中世防御性施設である可能性が高くなった。 (2)予備的研究として、オホーツク文化期の古人骨に関するDNA分析法の開発を行った。また、北海道のヒグマおよびエゾシカの古代DNA分析を行った結果、奥尻島の青苗砂丘遺跡出土のヒグマ骨の由来地を道南地方に推定することができた。 (3)北海道域における擦文文化期終焉後の時間軸を確立するために、今年度は鉄鍋に関する調査を行った。本州各地の民具資料、並びに考古資料の調査を行い、主に東日本での中世から近世にかけての鉄鍋生産の動向について一定の見解を得るにいたった。 A 中世〜近世の鉄鍋製作方法は、畿内・北陸を中心地域と、東北太平洋側の地域で異なる。 B 東日本の日本海側地域では、14世紀後半以降、畿内・北陸型の製作方法をもつ職人の移住、もしくは接触によって、畿内・北陸型の製作方法による内耳鉄鍋が製作されるようになる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nabata D., Masuda R., Takahashi O.: "Bottleneck Effects on the Sika Deer Cervus nippon Populatopn in Hokkaido, Revealed by Ancient DNA Analysis."Zoological Science. 21・4(印刷中). (2004)
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[Publications] 天野 哲也: "クマ祭りの起源"雄山閣. 174 (2003)