2003 Fiscal Year Annual Research Report
中世の東北アジアと考古学――奴児干永寧寺(ぬるかんえいねいじ)をめぐる東北アジアの文化交流と諸民族の動向
Project/Area Number |
15068202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊池 俊彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70000619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和之 函館工業高等専門学校, 一般科目・人文系, 教授 (80342434)
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Keywords | 東北アジア史 / アイヌ史 / 金石学 / 考古学 / デジタル技術 |
Research Abstract |
日本列島の北方地域の歴史を考える時,アムール川(黒龍江)流域やサハリン(樺太)との接触・交流を無視することはできない。15世紀の初頭,明の永楽帝は女真人の宦官である亦失哈(イシハ)を派遣し,かつ東征元帥府(とうせいげんすいふ)のあったところに奴児干都司(ぬるかんとし)を設置した。以後,明はアムール川流域・サハリンの諸集団に積極的に支配を及ぼした。 亦失哈は,奴児干都司に併設して永寧寺(えいねいじ)という寺院を建立し,この顛末を記した石碑を建てた。これを「勅修奴児干永寧寺記」といい,立石は永楽11年(1413)のことである。この寺は現地の先住民によって破壊されていたが,その後,亦失哈によって再建された。亦失哈はこのことの経緯を記した「重建永寧寺碑記」を建てている。 現存する,あるいは採拓されたことが確認できる拓本は,1.金毓黻(きんいくふつ)旧蔵拓本(写真),2.白鳥庫吉旧蔵拓本,3.市立函館博物館蔵拓本,4.内藤湖南旧蔵拓本,の4種類である。このうち1は,拓本そのものではなく拓本の写真であり,2は今のところ所在不明である。3は,先ごろ本研究のなかで存在が確認された。3は,日本では最も採拓の時期が古い拓本である。これまで最も良い拓本とされてきた4に比較すると,やや墨が薄く,拓影の状況は必ずしも良好ではないが,デジタル技術を利用することにより,これまで判読が難しかった文字をいくつか確定できた。今後も,基本となる碑文の釈文の確定を進める予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 菊池俊彦: "大陸との交流"新北海道の古代(北海道新聞社発行). 182-205 (2003)
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[Publications] 菊池俊彦: "中国に運ばれたセイウチの牙"土車(財団法人古代学協会発行). 第104号. 3 (2003)
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[Publications] 菊池俊彦: "考古学からみた環オホーツク海交易"天気(日本気象学会発行). Vol.50 No.7. 4-9 (2003)
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[Publications] 中村和之: "最上徳内『唐太島』について"弘前大学國史研究(弘前大学国史研究室発行). 第114号. 38-50 (2003)
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[Publications] 中村和之: "蝦夷錦・青玉と北方交易"蝦夷錦と北方交易(青森県立郷土館発行). 6-8 (2003)
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[Publications] 中村和之(訳): "明代の東北アジア・シルクロード"史朋(北海道大学東洋史談話会発行). 第36号. 18-31 (2003)
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[Publications] 菊池俊彦: "環オホーツク海古代文化の研究"北海道大学図書刊行会. 300 (2004)