2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15068205
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢田 俊文 新潟大学, 人文学部, 教授 (40200521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 直史 新潟大学, 人文学部, 助教授 (70270931)
堀 健彦 新潟大学, 人文学部, 助教授 (80313493)
浅倉 有子 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70167881)
仁木 宏 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90222182)
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Keywords | 日本史 / 中世考古学 / 中世史 / 近世初期 / 文献 |
Research Abstract |
1.集散地でのモノ研究は生産地・消費地とは違う独特の困難性が明確になった。商品は移動するものである。松本城下の砥石問屋遺跡の砥石も、火災で被熱していなければ問屋の敷地内に廃棄されず、商品として出荷され、遺跡内で発掘されることはなかった。本来、商品は集散地にはとどまらないモノである。モノという資料から集散地を明らかにする困難性は、商品というモノの特徴にある。そのような特徴をもった地点として集散地を理解しなければ、モノから集散地を明らかにすることはできないことが明確になった。物資流通研究は集散地の研究なしには成り立たない。文献からみても、遺物・遺跡からみても、間違いなく集散地遺跡であることが明らかな遺跡の検討は重要であり、信州松本城下の砥石問屋遺跡などの近世集散地遺跡を理解することにより、集散地である遺跡の遺物・遺構のあり方が明確になった。 2.従来文献史学であまり検討されることのなかった近世前期の漆器と寺院の関係についての成果をえた。近世前期の浄法寺(岩手県)は、寺院であり、生産地であり消費地であり集散地であることを文献史学の立場で明確にした。中世考古学では、寺院が生産地であり消費地であり集散地であることはすでに知られていることではあるが、文献史学の立場で考古学と共通の資料である漆器を対象にして、これを明らかにした点は成果である。 また、庄本遺跡の発掘調査の成果を意識しながら、摂津国河尻地域を本拠地の一つとする桧物師集団についての史料分析を行った研究では、河尻地域周辺の小エリアの物資流通圏の存在を明らかにした。中世考古学ではモノの小地域分布圏が存在することは知られているが、文献史学では資料の偏りがあるためなかなか明らかにされてこなかった。文献史学ではどうしても京都中心になるものを、河尻の周辺での小エリアと、さらにそこを中心とした交易のエリアという同心円の二重構造ということで、京都とは相対的に独立した商圏を明らかにした。
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Research Products
(6 results)