2004 Fiscal Year Annual Research Report
中世東アジアの交流・交易システムに関する新研究戦略の開発・検討
Project/Area Number |
15068211
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池田 栄史 琉球大学, 法文学部, 教授 (40150627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊見山 和行 琉球大学, 教育学部, 教授 (40211403)
後藤 雅彦 琉球大学, 法文学部, 助教授 (30291553)
西谷 正 九州大学, 名誉教授 (20037005)
佐伯 弘次 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (70167419)
上原 靜 沖縄国際大学, 総合文化学部, 助教授 (40320519)
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Keywords | 水中考古学 / 交流・交易 / 中世東アジア / 沈没船 / 高麗王朝 / サイド・スキャン・ソナー / 地下レーダ / 高麗瓦 |
Research Abstract |
本研究では、中世東アジアにおける交流・交易のシステムについて、日本における従来の考古学研究では、あまり関心が払われてこなかった韓半島と琉球列島、さらには日本の関わりを念頭に置きながら、研究の展開を図ることを目指している。また、その方法として、水中考古学の手法を導入することによって、沈没船を対象とした調査・研究方法の構築を試みるとともに、東アジア諸国の水中考古学関係機関や研究者の連係ネットワークを構築することを志している。 このための調査として、まず8月8〜10日にかけて、福岡市玄界島沖合における沈没船のサイドスキャンソナー探査を行なった。本調査は昨年度からの継続調査であり、新たな調査区で沈没船の候補となる海底地形の異常地点52箇所を確認した。これに続き、8月11〜18日にかけて、朝鮮民主主義人民共和国の高麗時代遺跡および関係資料、博物館などに関する現地調査を行なった。中世の朝鮮半島に成立した高麗王朝の王城は、同国内に位置することから現地調査を行なったもので、高麗王宮跡などの良好な残存状況を確認するとともに、同国の考古学関係機関や研究者との意見交換を行なった。次いで、10月17日には福岡市において、中国・台湾・韓国の研究者を招聘して、「東アジアの水中考古学」をテーマとした国際シンポジウムを開催した。これによって、中国・台湾・韓国・日本の水中考古学研究の現況が明らかとなり、またこれら東アジア諸国をつなぐ研究者の連係が図られることとなった。12月23〜28日にかけては、沖縄県名護市内において、高麗瓦窯跡の探査を行なった。本調査も昨年度から継続しているもので、本年度は昨年導入した地下レーダを利用して物理学的探査を行なったが窯跡発見にはいたらなかった。 以上、今年度の調査では、水中考古学に関する国際シンポジウムを開催し、東アジアの研究状況の把握と研究者のネットワークが構築できたことや、朝鮮民主主義人民共和国との間の研究情報交換の足掛かりが得られたことなど、研究の広がりを図れたことが大きな成果であった。来年度については、これを踏まえながら、これまでの成果の中間取りまとめと、新たな調査・研究の展開を試みることとしたい。
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Research Products
(7 results)