2005 Fiscal Year Annual Research Report
教育研究施設のリスク認知と関連する情報の信頼性向上
Project/Area Number |
15069204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高月 紘 京都大学, 環境保全センター, 名誉教授 (80026228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信久 京都大学, 環境保全センター, 助教授 (10291212)
水谷 聡 京都大学, 環境保全センター, 助手 (80283654)
中明 賢二 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (90072652)
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Keywords | 倫理学 / 科学教育 / 環境技術 / 廃棄物処理 / 有害化学物質 |
Research Abstract |
平成16年度までに、作業環境測定よる実験者リスクの推定、および有機溶媒の揮発源を実験者が意識するための枠組作りの必要性が明らかになったが、実験者リスクを考える上で、1)作業環境濃度と同時に重要な要因である曝露時間をいかにリスク算定に組み込むか、2)「有機溶媒の揮発でとくに注意しなければならない事項は何か」を明らかにした。1)については、曝露時間とリスク量が比例すると仮定して、リスクを定量的に表現する手法として、損失余命(LLE)の考え方が有効である。とくに短時間曝露を評価する上で、「1分間の曝露で00分間の余命損失につながる」という指標はわかりやすい。たとえば、たばこの場合は、1本の喫煙で11分のLLEをもたらす。リスクコミュニケーションのためには、実感しやすいことと同時に、「納得しやすい易しい計算」が重要であるので、LLEの計算方法として、平均寿命80年と台形の面積の公式を利用する矩形近似法を開発した。この方法によれば、20歳の時点で、大気中ベンゼン濃度2(mg m-3)に1分間曝露させた場合のLLEは7.5x10-3分となる。曝露時間が10分であれば、LLEは10倍の7.5x10-2分となる。他の発ガン性化学物質についても同様の取り扱いができ、また、一般生活や産業災害などのLLEと比較することで、環境安全衛生の考察材料とすることができる。2)については、PRTRデータが安定してきた現在、とくに、大学等の高等教育機関からの寄与が著しく多いのが、クロロホルムであることがわかった。排水基準がないために、「気軽に使える」というのが理由であると考えられる。しかし、作業環境を考えると、ジクロロメタンと同等の取り扱いの注意が必要なので、現在の状況を広く知らせて、代替物質への切り替えや、回収の徹底を図る必要がある。回収方法について、冷却濃縮時の圧力制御が重要であることを昨年度突き止めたが、その理論的考察を構築した。
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