Research Abstract |
本研究の目的は,各種医療画像において,人体の解剖学的な各種構造物(筋肉,脂肪,骨,臓器,血管等)の自動抽出法の開発(特に,胸部・腹部を中心に)を,まず正常症例を利用して行い,これにより正常構造理解の観点から異常部位の自動識別(がんなどの検出)法の開発を行うことであり,このような新しい手法に基づく知的コンピュータ支援診断(CAD:computer-aided diagnosis)システムを構築することである. 本年度は,主に「画像データ収集」と「正常構造理解のための基本アルゴリズムの構築(ソフトウェアの開発)」を中心に,研究を遂行した. 「画像データ収集」に関しては,初年度は総合で300症例規模の画像データの収集を行った(データベースの充実化).内容は,CTやMR画像データ等(マンモグラフィ,眼底写真,PET画像等を含む)を対象とし,検査の結果,異常のないもの(すなわち正常症例,あるいは部分的に正常)を中心に集め,さらに,各種の疾患を有する画像の収集作業も行った.また,画像データベースの検索・管理システムの充実も併せて行った. 「基本アルゴリズムの構築」に関しては,最も重要性の高いと考えられる「体幹部領域」におけるCTやMR画像データを主な対象とし,基本的な正常構造物(臓器等)の正確な自動抽出が可能になることを目指し,初期の有効な結果を得た.このとき,少なくとも100症例規模のデータについて実験を行い,各種臓器等の自動抽出法について高い精度で成功できるアルゴリズムを作成した.また,異常部位が存在するときの自動抽出処理法の問題点についても検討を行った. さらに,救命救急時における疾患へのこのようなCAD応用についても検討を行った.また,2次元画像については,マンモグラフィ,眼底写真,PET画像を対象に,正常構造解析を行った. これらの結果の一部を,論文として投稿するとともに,国際会議等でも報告した.
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