2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073201
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 達生 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 研究チーム長 (00242016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊井 玲児 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 研究員 (00356924)
堀内 佐智雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 研究員 (30371074)
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Keywords | 強相関エレクトロニクス / 電子デバイス・機器 / 表面・界面物性 / 分子性固体 / 有機導体 / 電界効果トランジスタ / モット絶縁体 / コンタクト |
Research Abstract |
本年度は、一次元有機モット絶縁体・(BEDT-TTF)(F2TCNQ)単結晶を用いる電界効果型トランジスタ(FET)素子において、これまで見出してきた両極性の電界効果動作の発現機構に関する以下の進展が得られた。まず、上記単結晶に加え、数種類の典型的な有機モット絶縁体単結晶を対象として加え、これら素子においてチャネルサイズ、温度、電場強度など様々な条件下で電界効果動作の挙動を系統的に調べた。これにより、モット絶縁体FETの両極性動作は、特に電流-電圧特性の非線形性、およびソース-ドレイン間のチャネルサイズと強い相関を持つことが明らかになった。上記の事実から、モット絶縁体FETの両極性動作が、モット絶縁体-金属間界面における特異なキャリヤ注入機構に由来するとともに、空間電荷制限電流の発現機構とも強い関連を持っていることが示唆された。 さらに本年度は、上記の単結晶を利用する電界効果動作の実験を、モット絶縁体を含む有機半導体のコンタクト工学全般への研究へと展開することができた。一般に有機材料は化学的ドーピングが困難なため電極から半導体へのキャリヤ注入を最適化することが困難だが、このような材料に適した方法として、高い導電性を持つ電荷移動錯体系有機金属を電極材料として利用する方法を提案し、その効果を実際の素子において検証することに成功した。さらにこれによって、有機半導体の電子移動度としては最高の値を有するn型トランジスタを得ることに成功した。すなわち、有機半導体(DBTTF)(TCNQ)単結晶上に、高い導電性を持つ有機金属TTF-TCNQを用いたソース-ドレイン電極を作製し、これによって半導体の伝導バンドと金属のフェルミ準位が整合した半導体-金属界面を形成した。これによって電子移動度が1cm2/Vsを超えるn型動作を示す有機トランジスタが得られた。
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Research Products
(8 results)