2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能光電子分光法を用いたd及びf電子系と巨大π電子系との相関性追求
Project/Area Number |
15073203
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
日野 照純 千葉大学, 工学部, 助教授 (10105827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 賢太郎 千葉大学, 工学部, 助手 (00251182)
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Keywords | 光電子分光 / 電子状態 / フラーレン / 金属内包フラーレン / 電子受容体 / テトラアザナフタセン |
Research Abstract |
本年度の研究は、超高分解能光電子分光を用いて、新規な物性を示すより広範囲な有機系導体の電子状態を明らかにすることを可能にするための装置の改良と、d-電子・f-電子系と巨大π電子系が相互作用する代表例である金属内包フラーレン及び本特定領域のA04班物質合成班により新たに開発された新規電子受容体の紫外光電子スペクトル測定の二つに大別できる。 装置の改良は、嫌気性の試料も測定できるようにグローブボックスを製作し、これを光電子分光装置と接続するするためのクイックインサーション用真空槽もあわせて製作した。現在、これらの装置を光電子分光装置に接続するための調整中である。 本年度に測定した金属内包フラーレンは、ルテチウムやエルビウムを内包したフラーレン、Lu@C_<82>,Lu_2@C_<82>,Lu_2C_2@C_<82>,Er@C_<82>,Er_2@C_<82>,Er_2C_2@C_<82>等である。予備的なデータ解析によると、内包フラーレンの電子状態は内包金属Mが異なっていてもほぼ同じ傾向を示していることが判明した。さらに、これらの電子状態はYがそれぞれの状態で内包されているフラーレンと大差がないように思われるが、詳細は今後の研究により明らかとする予定である。 新規に合成された電子受容体、tetraazanaphthacene(TANC)とその銅錯体のスペクトルを測定した。単体に比べ錯体ではバンドギャップが非常に小さく、錯体の高導電性を示している。しかし、両者にははっきりした対応が見られず、TANCと銅間の相互作用が大きなことが予想されるが、詳細は今後の研究に待たねばならない状況にある。
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Research Products
(4 results)