2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能光電子分光法を用いたd及びf電子系と巨大π電子系との相関性追求
Project/Area Number |
15073203
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
日野 照純 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10105827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 隆文 愛媛大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (70260156)
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Keywords | 電子状態 / 光電子分光 / フラーレン / 金属内包フラーレン / π-d相互作用 |
Research Abstract |
Erを内包したフラーレンEr@C_<82>(I)やEr_2@C_<82>(III)とEr_2C_2@C_<82>(III)やLuを内包したフラーレンLu_2@C_<82>(II)やLu_2C_2@C_<82>(II)の測定を行った。これら測定結果についての解析は現在進行中である。 これまでに測定してきたTi_2@C_<80>(実はD_<3h>(5)-Ti_2C_2@C_<78>と考えた方が妥当性が高い)と同じD_<3h>(5)ケージ構造をLa_2@C_<78>についてLDA近似に基づく密度汎関数の計算を行い、同じケージ構造をこれら二つの内包フラーレンが顕著に異なる電子状態をとることの原因を追及した。この結果、いずれのフラーレンでもHOMO軌道はフラーレンケージの子午線上(内包された2個の金属原子が居る平面を赤道面として)に分布しており、波動関数の分布に相違はない。しかし、両者のHOMO-1軌道分布は大きく異なっていた。La_2@C_<78>のHOMO-1ではほぼケージ上全体に波動関数が分布しているだけであるが、Ti2C_2@C_<78>ではケージ上ばかりでなくケージの内部の方に深く波動関数が張り出している。この原因として内包されたTi原子とフラーレンケージを形成する炭素原子間に強い結合が存在していることが挙げられた。これまでのところ測定されたフラーレンではケージ構造が同じであれば類似の電子状態を与えるという経験則があるが、Ti原子が内包されたC_<82>ケージフラーレンでも、この経験則が一部成立しないところがあるため、Ti原子の内包は特異的なもので、内包原子のd-軸道とケージのπ-軌道間に強い相互作用が存在するのではないかと思われる。
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Research Products
(3 results)