2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿野田 一司 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (20194946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 和也 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (90302760)
藤山 茂樹 東京大学, 大学院工学系研究科, 研究拠点形成特任教員 (00342634)
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Keywords | 超高圧実験 / モット転移 / 強電子相関 / 異方的圧力 / スピン液体 / ゼロギャップ半導体 |
Research Abstract |
平成18年度はダイヤモンドアンビル法を用いた5GPa以上の超高圧下での実験環境の整備、ガス圧力を用いたモット転移の研究、一軸加圧下モット絶縁体の研究、中性-イオン性転移の研究、さらにゼロギャップ半導体状態の研究を行った。 超高圧下での印加圧力を決定するにはルビー発光を利用する。この発光を効率よく観測できるようこの目的に適した高感度冷却CCD付きの分光システムの設置および調整をおこなった。 モット転移に関しては、κ-(ET)_2Cu[N(CN)_2]Clの加圧実験で明らかになった異常なモット臨界性が、もうひとつの系κ-(ET)_2Cu[N(CN)_2]Brにおいても共通に見出された。加えて、常圧下でスピン液体モット絶縁体であるκ-(ET)_2Cu_2(CN)_3塩のモット転移をガス圧を用いて精密に圧力制御をして詳細な温度-圧力相図を作成した。この結果、反強磁性モット絶縁体κ-(ET)_2Cu[N(CN)_2]Cl塩と異なってモット転移線が圧力に対して大きく傾いていることが明らかになり、モット転移に対するスピン自由度の関与を実証している。 スピンの相互作用の積極的制御を目的として、一軸方向のみに試料を加圧する異方的圧力下でのNMR測定に着手した。反強磁性モット絶縁体β'-(ET)_2ICl_2塩に5kbarの一軸圧力を印加することにより転移温度は9K上昇し、スピン構造も常圧と異なっている可能性を見出した。 DMTTF-QBr_4の加圧による中性-イオン性転移の臨界現象をNQR実験で調べた結果、5Kという低温でも、転移圧力付近で大きな臨界揺らぎが存在することを明らかにした。 理論班の鈴村グループが指摘したゼロギャップ半導体の可能性をθ-(BEDT-TTF)_2I_3において探るため、加圧下NMR実験を行ったところ、4Kという低温までスピンシフトおよび1/T_1が減少しつづけこの描像と矛盾していない結果を得た。
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Research Products
(6 results)