2006 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場と人工構造による低次元有機導体の電子物性制御
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15073206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00192526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 英二 神戸大学, 理学部, 助教授 (00323634)
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Keywords | 有機導体 / 低次元電子系 / 超強磁場 / 電界効果 / 微細構造 / スピン密度波 / 磁気抵抗角度効果 / ヘテロ接合 |
Research Abstract |
(1)平行磁場共鳴現象の確認と解明 近年、β"-(BEDT-TTF)_2CsCd(SCN)_4の低温相で見出された層間磁気抵抗の平行磁場下での共鳴現象の概念的確立を目的に研究を行った。まずこれが層状物質で起こり得る一般的現象であることをGaAs/AlGaAs系半導体超格子を用いた実験で実証した。系のコヒーレンスに関係なく平行磁場共鳴が現れる実験事実は、平行磁場共鳴が隣接2層間の局所的トンネル現象であることを強く示唆する。そこでトンネル描像を用いて平行磁場下の層間伝導の一般論を構築したところ、隣接2層間のトンネル過程の寄与を2次元フェルミ面形状に幾何学的に関連付ける描像が導かれ、平行磁場共鳴をフェルミ面上のトンネルチャネル数の共鳴的増大によって説明することに成功した。 (2)CDW状態での磁気抵抗角度効果とUCDW状態の可能性の検討 近年、有機導体α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4の電荷密度波(CDW)相が、非s波的電子-正孔対の凝縮によるアンコンベンショナルなCDW(UCDW)である可能性が指摘された。このUCDWモデルを検証するため、その実験的根拠となっているLebed共鳴的な磁気抵抗の角度依存性を実験的・理論的に調べた。その結果、1次元軸方向近傍でのLebed共鳴的角度効果の強度変調の様式が、従来のLebed共鳴と異なることを実験的に見出した。またトンネル描像を用いてCDWポテンシャル下の柱状フェルミ面電子系の層間伝導の隣接2層間トンネルの寄与を理論的に評価したところ、観測されたLebed共鳴と柱状フェルミ面のKajita振動が混じった角度効果が現れることがわかった。実験で観測されたLebed共鳴の強度変調がKajita振動と一致したため、この物質の磁気抵抗角度効果の説明としては今回のモデルの方がUCDWモデルより優位であることが示された。
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Research Products
(6 results)