2005 Fiscal Year Annual Research Report
テトラチアペンタレン系導体における結晶構造・物性制御と超伝導化
Project/Area Number |
15073216
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
御崎 洋二 愛媛大学, 工学部, 教授 (90202340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 久一 愛媛大学, 工学部, 講師 (30229893)
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Keywords | テトラチアペンタレン / ドナー / 有機伝導体 / X線構造解析 / バンド計算 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
二分子のTTFが融合したBDT-TTPのラジカルカチオン塩は,対イオンの形状や大きさに関係なく,均一な積層構造を有するβ類似型ドナー配列をとる,といった強い自己凝集能を有し,そのため,ほとんどの塩が低温まで金属的な伝導性を示す。一方,BDT-TTP骨格に適当な置換基を導入することにより,BDT-TTPとは異なる分子配列が実現できるため,TTP系導体の分子配列に関する置換基効果を系統的に調べることは有機導体の分子配列制御を目指す上で興味深い。そこで,本年度はBDT-TTPにセレノメチル基を導入したBSM-TTP錯体の構造と物性について検討した。 (BSM-TTP)_2SbF_6:ドナーとアニオンの組成比は2:1であり,ドナー分子は一般位置,アニオンは対称心上にある。BSM-TTP分子は擬カラム構造を有するβ・型配列をとっている。硫黄類縁体であるBTM-TTPはSbF_6アニオンとの間にβ型およびθ型構造を有する2種の2:1塩を与えることが明らかとなっており,分子配列に対するセレン原子の効果について今後検討していく必要がある。この塩は室温において,60Scm^<-1>の伝導性を示し,5Kまで金属的な温度依存性を示した。バンド計算によると二次元的な閉じたフェルミ面を有することが示唆された。 (BSM-TTP)_4(PF_6)_3(PhCl)_2:ドナーとアニオンの組成比は4:3である。BSM-TTP分子はface-to-face型のカラム構造を形成しているが,side-by-side方向にはアニオンと溶媒から成る絶縁層が存在するため,この方向には伝導パスが存在しない。一方,BSM-TTP分子はSe-Se接触に基づくedge-to-edge相互作用により二次元的な分子配列を形成している。この塩は室温において,25Scm^<-1>の伝導性を示し,170Kで絶縁化した。
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Research Products
(3 results)