2007 Fiscal Year Annual Research Report
テトラチアペンタレン系導体における結晶構造・物性制御と超伝導化
Project/Area Number |
15073216
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
御崎 洋二 Ehime University, 理工学研究科, 教授 (90202340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 久一 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (30229893)
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Keywords | テトラチアペンタレン / 分子性導体 / 酸化還元電位 / X線構造解析 / 電気伝導度 / 半導体 / 金属 / ドナー |
Research Abstract |
TSFとTTFから成る融合型TTPドナー(ST-STP)の各種誘導体,類縁体の合成に成功した。CV測定を行ったところ,いずれの誘導体も四対の酸化還元波を示した。これらのドナーを用いたI_3塩ならびTCNQ錯体の多くは加圧成型試料にもかかわらず高い伝導性(?_<rt>=8? 36 S cm^<-1>)を示し,活性化エネルギー(0.01??0.04 eV)が非常に小さいことから単結晶試料では金属的な伝導性を示すと期待される。また,四つのメチルチオ基を有するTTM-ST-STPはPF_6^?と1:1の組成を持つ塩を与えた。ドナー分子はa軸方向に積層しており,積層内でドナー分子は二量化している。Side-by-side方向には対アニオンと溶媒が存在するため,この方向には伝導パスは存在しない。単結晶試料においてこの塩は室温で0.3 S cm^<-1>の伝導性を示し,活性化エネルギー0.092 e_V の半導体であった。 TTFとBDT-TTPから成るタイマー(1)の各種誘導体の合成に成功した。CV法によると,いずれの誘導体も六対の一電子酸化還元波を示した。第一酸化還元電位は対応するTTF誘導体に近く,かつBDT-TTP末端に導入した置換基の影響はほとんど受けない。これに対し,第二酸化還元電位はBDT-TTP側の置換基の影響を大きく受けた。以上のことから,一電子目の酸化により生成した陽電荷は主にTTF側に主に分布しており,二電子目の酸化は主にBDT-TTP側が寄与していると考えられる。無置換体1aはTCNQ, I_3と電荷移動錯体を形成し,それらの加圧成形試料における伝導度室温で3.4?3.6Scm_1と高い伝導性を示した。それらの活性化エネルギーは0.051? 0.052 eV と低く,単結晶試料では金属的あるいは活性化エネルギーの非常に小さな半導体挙動を示すことが期待される。
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Research Products
(15 results)