2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073218
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 徹夫 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (80029884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧宮 和男 広島大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40263735)
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Keywords | 分子性導体 / ナノ分子 / 有機伝導体 / 超伝導体 / テトラセレナフルバレン / 電子供与体 / 電界効果トランジスタ / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
これまで我々のグループにおいて、有機超伝導体探索の中心的な役割を果たしてきたMDT-TSFの重水素化に成功し、この系の超伝導体の同位体効果を検証した。その結果、重水素化によりTcがわずかではあるが上昇することが示された。また、新たな含セレンドナーとして、エチレンチオTSFを開発し、そのラジカル塩を作製した。X線構造解析、抵抗測定の結果、MDT-TSF系と等構造を持つものの、ドナーの低い対象性により超伝導転移を示さないことを見出した。これらに加え、TSF誘導体の合成には、従来、二セレン化炭素やセレン化水素などの入手の困難なセレン試薬が必要であったが、本年度において、粉末セレンと市販のナトリウムアセチリドよりわずか二段階で無置換TSFを簡便に合成する方法を確立した。 一方、新たなナノ伝導体の構成分子として六量体までの一連のジシアノメチレンで修飾したチエノキノイド分子の開発に成功した。これは従来低溶解性のために3〜4量体程度が限界だったこの系の開発において、高溶解性チオフェンユニットを用いることで、溶解性の問題を克服できたためである。合成に成功した一連の化合物の光・電気化学的測定から、共役拡張により順次吸収の長波長シフトがみられ、4量体以上では近赤外領域まで強い吸収が見られた。さらに、5量体、6量体では基底状態において開核構造の寄与が見られ、ラジカル種となることがESR測定により確認された。 これらに加えて、オリゴチオフェンの積層型二量体やゲート機能を付与したオリゴチオフェン系の開発にも成功し、チオフェン多量体の伝導機構の解明や、電子またはエネルギー移動におけるスイッチ機能付き分子ワイヤとしての機能評価を行った。
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Research Products
(11 results)