2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073218
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大坪 徹夫 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 名誉教授 (80029884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧宮 和男 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40263735)
宮碕 栄吾 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00432683)
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Keywords | 分子性導体 / ナノ分子 / 有機伝導体 / 超伝導体 / 電子供与体 / 電子受容体 / 電界効果トランジスタ / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
新規ナノ分子合成と薄膜デバイス化に注力し,昨年度に引き続き有機薄膜トランジスタの材料開発とデバイス作製・評価を中心に研究を行った.また,電界発光素子,及び薄膜積層型光電変換素子への応用にも着手した.以下に主な成果を列記する. 1.強い分子間相互作用を可能にするTTFの分子間での硫黄原子間相互作用を妨げないように,分子長軸方向に可溶性置換基を導入することを種々検討した結果,ピロール縮合TTFのN原子上に長鎖アルキル基を導入することに成功した.この材料の溶液をスピンコートにより製膜したところ,アルキル鎖長により分子配列が変化することを見出し,長鎖の誘導体(C_12H_25以上)では二次元的なTTF伝導層の形成が可能となることを明らかにした.また,分子配列の鎖長依存性は電気的特性にも大きく影響し,鎖長の短いもの(C_8H_17以下)では電界効果をほとんど示さないのに対し,長鎖の誘導体(C_12H_25以上)では最高で0. 01cm_2/Vsに達する移動度をもつp型有機FETとなることが分かった. 2.熱的Bergman環化を利用することで3個のベンゼンと2個のチオフェン(またはセレノフェン)が交互に直線状に縮合した化合物の簡便合成法を見出した.これらはカルコゲン原子の違いにより異なった結晶構造を持ち,また蒸着により結晶性の薄膜を与えた.蒸着薄膜を用いたFETは10^<-3>cm^2/vs程度の移動度を示した. 3.昨年度,極めて高い移動度を示す蒸着材料であるDNTTを報告したが,本年度,その二種の構造異性体高効率合成法を開発し,これら異性体の蒸着薄膜を用いたFETを作製した.移動度は10^<-3->10^<-2>cn^2/Vsと既存の誘導体と比較すると二桁以上低い結果となった.構造解析,電子状態解析の結果,分子配列の変化とともに,フロンティア軌道の電子状態が異なることが明らかとなり,分子設計の重要性が示唆された.
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Research Products
(8 results)