2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073221
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高橋 利宏 Gakushuin University, 理学部, 教授 (60163276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開 康一 学習院大学, 理学部, 助教 (00306523)
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Keywords | 分子性導体 / 金属絶縁体転移 / 電荷整列 / 磁気共鳴 / 高圧物性 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、主にNMRを用いた分子性導体における低温電子状態の解明を行った。最終年度に新たに得られた知見は次の通りである。(1)α-(BEDT-TTF)_2I_3塩における電荷整列、電荷不均化の圧力依存性を1. 1GPaまでの圧力領域で^<13>C-NMRの角度依存性の測定によって解析した。局所磁化率は価数と対応しないことが分かった。すなわち、低温で局所磁化率が著しく減少するBサイトが+1価に近く、Cサイトが中性に近い。これは、X線回折の結果と一致し、理論的な解析とも整合する。この系の高圧相は「ゼロギャップ状態」(ZGS)にあることがごく最近明らかにされ、電荷の不均化がこのZGSの安定化に重要な役割を果たしていることが指摘されている。(2)α-(BEDT-TTF)_2I_3山塩と同型の分子配列を持つα-(BETS)_2I_3塩の^<13>C-置換体について常圧で同様な測定を行った。この結果α-(BEDT-TTF)_2I_3塩と同様な電荷の不均化が起こっていることが確認された。(3)(TMTTF)_2FSO_3塩について圧力下の^<77>Se-NMR吸収線の角度依存性の解析を行い、90K以下で観測された線幅の広がりの機構を探索した。この結果、線幅の増大は電荷の不均化によること、不均化の程度は+0.5±0.05(50K付近)程度であること、線幅の対称性の主軸が分子軸からわずかに(〓20°)ずれていることを見出した。これらはFS0_3-イオンの電気双極子の影響を強く示唆するものである。(5)磁場誘起超伝導体λ-(BETS)_2FeCl_4と同一構造を持つGaCl_4塩において、30K以下の温度で、電荷の不均化を強く示唆する^<77>Se-NMR線幅の増大を観測した。同様な線幅の増大は、FeCl_4塩においても観測されており、これがBETS分子層の事情で起こっていることを証拠づけるものである。
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Research Products
(11 results)