2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15073222
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 教授 (20172629)
田嶋 尚也 理化学研究所, 研究員 (40316930)
|
Keywords | ゼロギャップ半導体 / ナローギャップ半導体 / ディラック コーン / 有機半導体 / 磁気抵抗 |
Research Abstract |
1.α-(BEDT-TSeF)_2I_3の面間方向の電気抵抗に対する縦磁場効果 この物質は、常圧では約60K以下で絶縁体になるが、静水圧を印加すると転移が抑えられて、室温から低温までほぼ一定の抵抗を示すようになる。ただし、この物質は低温で半導体ではなく半金属である。担体濃度は20K以下で一定である。このとき20K以下の電気抵抗の温度依存性はやはり無い。こうした現象は、この物質がゼロギャップ伝導体であるとすると理解できる。本研究では、二次元ゼロギャップ伝導体の面間抵抗特に、磁場を面間方向に印加したときの影響を調べた。その結果、特異な負の磁気抵抗効果を観測した。 2.高圧下におけるκ-(BEDT-TTF)_2Cu(SCN)_2の面間方向磁気抵抗 我々は擬一次金属の面間磁気抵抗を表す解析式を得ることに成功した。本研究の目的は、電子相関の効果を考慮しない理論式が相関の強い系に適用できるかどうかを調べることである。実験では、圧力印加によって相関効果を弱めつつ、面間磁気抵抗を調べた。これと、AMRO(角度依存磁気抵抗振動)の結果を組み合わせた解析を行った。その結果、上記の解析式は、電子相関効果の強い系にも適用できることを明らかにした。 3.擬一次元金属(DMIT)_2I_3の面間横磁気抵抗 擬一次元金属の面間磁気抵抗に対する解析式の応用第2番目として、上記物質をとり上げた。この物質は、擬一次元エネルギー構造を持つ物質であるが、2K以上の温度域では金属である。理論式によれば磁場を伝導面に平行な方向に印加した場合、その方向が一次元フェルミ面に平行であるか垂直であるかによって、面間抵抗の磁場依存性が定性的に異なる。この実験結果を用いて、擬一次元金属のフェルミ面の形状を決定することができる。実際に上記物質のフェルミ面をこの方法で再構築することが出来た。 4.擬二次元伝導体に(BEDT-TSeF)_2X(X=FeCl_4,FeBr_4)のフェルミ面。 擬二次元有機伝導体のフェルミ面は一般に単純な形状を持つ。特に楕円型のフェルミ面を持つ物質が多いが、この場合、層間抵抗の面間磁場依存性の実験結果を用いて、フェルミ面を決定することができる。フェルミ面の形状を決定する方法として、AMROを解析する方法がある。しかしAMROを観測するには、低温とある程度強い磁場を必要とする。比較して、本方法では、高温、あるいは低磁場での実験結果を用いてフェルミ面を決定する事が可能である。この方法を用いて、上記2物質のフェルミ面の形状を決定した。
|
Research Products
(3 results)