2004 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下の分子性導体における集団的な電荷ダイナミクスの理論
Project/Area Number |
15073224
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
米満 賢治 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 助教授 (60270823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸根 順一郎 九州工業大学, 工学部, 助教授 (80290906)
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Keywords | 電界効果トランジスタ / ショットキー障壁 / 仕事関数差 / 両極的電界効果特性 / 中性イオン性相転移 / 強誘電転移 / マスター方程式 / 光誘起緩和現象 |
Research Abstract |
最近、擬1次元有機モット絶縁体の(BEDT-TTF)(F2TCNQ)単結晶を用いた電界効果トランジスタ(FET)で両極的な電流-ゲート電圧(IV)特性が報告された。バンド構造に由来する真性半導体の電荷移動錯体やカーボンナノチューブを用いたFETでは、ショットキー障壁がIV特性に大きく影響することが知られている。後者ではソース/ドレイン電極との仕事関数差がある限り、ゲート電圧の正負に関して非対称で一般に単極的になる。モット絶縁体の実験結果は結晶と電極の界面で形成されるショットキー障壁が電子相関と絡むことで電子注入と正孔注入に対して同様の影響を及ぼすことを意味する。この両極的なIV特性の起源を調べるために1次元ハバードモデルなどに基づいて計算を行った。結晶と電極の仕事関数の差を埋めるためにスカラー・ポテンシャルが現れ、ポワソン方程式に従う。その境界値がゲート電圧とドレイン電圧に依存する。ショットキー障壁は電子間相互作用のもたらすポテンシャルと同様に電荷密度分布と自己無撞着に数値的に求まる。モット絶縁体のIV特性が両極的なのは、ショットキー障壁が高いほうのゲート電圧極性で電子相関の効果が弱まるためであった。 交互積層型電荷移動錯体TTF-CAの圧力温度相図にはドナー・アクセプター間の電荷移動量と二量化に伴う電気双極子の秩序度に応じて強誘電イオン性相、常誘電イオン性相、中性相が現れる。光照射による時間変化は長時間では散逸が効いて時間発展に確率的要素がはいる。これら3状態間の古典相互作用モデルのマスター方程式による確率的時間変化を調べた。双極子間相互作用と電荷移動量間相互作用の比が方向によって極端に違っていることを取り入れるために、局所相関を扱う方法を用いた。相互作用の弱い方向の緩和が強い方向と比べてずっと遅くなることを示した。
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Research Products
(6 results)